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【グローバルアイ】韓国企業、初心を忘れるな

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
 「ゼニス・トランス・オーシャニック」。1950年代の米ゼニス社の真空管ラジオだ。 闇市でコメ50釜分でも手に入れるのが難しかった。 これ一つでソウルの市場で影響力が生じたほどだ。 東京はもちろん、遠いハワイからの電波までもとらえたからだ。 李承晩(イ・スンマン)政権称賛一色の国内放送では聞けなかった世界にも接することができた。 しかし伝説のゼニスは95年、LG電子の子会社になった。 LG電子は米国市場ですらもうゼニスというブランドを使わない。 ドラム式洗濯機・システムエアコンなど先端製品のイメージと合わないからだ。 最近、米国の洗濯機・エアコン売り場ではLG電子が常に中心を占めている。

家電事業に一歩遅れて参入した三星(サムスン)グループの李健熙(イ・ゴンヒ)会長は2004年に勝負の賭けに出た。 半導体技術者100人をテレビ事業部に投入した。 そこから平面テレビ「ボルドー」が出てきた。 色相を調節する半導体チップを世界で初めて内蔵したテレビだった。 三星電子はボルドーを前面に出し、06年に世界平面テレビ市場1位になった。

昨年の米国市場では発光ダイオード(LED)テレビでまたトップになった。 三星電子の昨年の米国テレビシェアは86%だった。 三星電子が米国で3D(3次元)テレビ新製品を発表すれば、競合社のパナソニックやソニーが先に動き出すのも昨年の痛恨の記憶のためだ。


77年に現代(ヒョンデ)自動車のポニーが米国に初めて上陸した時、米国人は少なからず驚いた。 名前もよく知らないアジアの小さな国が自動車を製造したことも不思議に思ったが、価格が想像を超越するほど安かったからだ。 それから20年間、米国市場で現代車は安さのために乗る車として通用した。 反転は「10年・10万マイル」保証修理キャンペーンを持ち出した98年に始まった。 現代車はもう米国市場で安モノではない。 アメリカンフットボールチャンピオン決定戦のスーパーボウル、第82回アカデミー賞授賞式の中継放送でも、現代・起亜(ヒョンデ・キア)車の広告が登場した。

最近、米国市場で韓国企業の活躍が目覚しい。 金融危機に世界企業が苦しむ中でよりいっそう光を放った。 しかし韓国企業の躍進を見ながら、一方で不安も感じる。 80・90年代の日本ソニー・トヨタを見ているような感じだ。 ソニー・トヨタが日本という枠を越えて世界市場を制覇し始めたのがその当時からだ。 そして組織は成功神話に陶酔した。 ‘自分たちが世界最高’という驕りが芽生えた。 最高経営者の周辺から苦言が一つ、二つと消えていった。 消費者の声はシャンパンを開ける声に埋もれた。

最近のトヨタのリコール問題を見てもそうだ。 すでに数年前から日本国内であふれていた消費者の苦情に耳を傾けてさえいれば、800万台のリコールという災難は避けることができた。 韓国企業がトヨタの前轍を踏まないためには絶対に初心を忘れてはならない。 固く閉ざされた消費者の心を開こうと走り回った市場開拓初期の初心を。



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