本人は否定するが、彼は明らかに‘悲運のスター’だった。 １９９６年アトランタオリンピック（五輪）最終予選で崔竜洙（チェ・ヨンス、現ＦＣソウルコーチ）に次いで２番目に多くの攻撃ポイントを記録し、大活躍したスタープレーヤーのイ・ウヨン（３７）。

１８６センチの身長に抜群のシュート力で彼は崔竜洙・禹成用（ウ・ソンヨン）とともに「ビショベッツ（当時の監督）師団」の‘恐怖の三角編隊’を形成した。 特に決定的な場面で得点・アシストした彼のゴール感覚は天賦的とまで言われた。 ９４年から３年間国家代表としてプレーした彼は、延世（ヨンセ）大を卒業した後、日本の大分トリニータ球団に進出、１年半ほどプレーし、１得点８アシスト（２０試合出場）を記録した。 ９８年に帰国し、安養（アンヤン）ＬＧに新人資格で入団した時は最も有力な新人王候補だった。 しかし足首の負傷で１シーズンわずか２試合の出場にとどまった。 そして翌年、２６歳という年齢で選手生活を終えることになった。 彼の同期の李雲在（イ・ウンジェ、現韓国代表ゴールキーパー）がまだ活躍中であることを考えると、あまりにも早い引退だった。

さまよった時期もあり、第２の人生を始めようと東大門（トンデムン）市場で衣料の商売もした。 しかしサッカーに対する熱情は冷めなかった。 悩んだ末、０１年７月、日本・仙台の高校のサッカー部へコーチとして行くことを決めた時、周囲は彼を引き止めた。 しかし彼は「運命は自ら切り開いていくもの」と信じて日本へ渡った。


苦心を重ねていた彼に機会が訪れたのは０３年３月。 慶応大学が彼を専任コーチに任命したのだ。 ４年後、慶応大学は彼に監督職を提案した。 みんなが驚いた。 彼の優れたリーダーシップは誰もが認めていたが、１９２７年の慶応大サッカー部設立以来、外国人が監督を務めたことは一度もなかったからだ。 現在も慶応大が属する関東地域１４０大学サッカーチームのうち外国人監督は彼が唯一だ。 さらに慶応大はチーム運営と財政的支援が徹底的に「サッカー部ＯＢ会」を通して行われる‘純血主義’だった。 このため逆風も強かった。



悲運のサッカースター、２年でつかんだ「ジャパンドリーム」の奇跡（２）

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