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【噴水台】馬糞と自動車

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版



馬は1日に糞を11キロもする。馬車が主な乗り物だった時代、都市では悪臭が鼻を突いた。ニューヨークから家ごとに玄関まで高い階段を積みあげたのも歩道にあふれた汚水によるものだった。馬糞を議題に19世紀初め、ニューヨークから国際会議まで開かれたが、解決策を見つけることができなかった。馬糞との戦争が幕を閉じたのはちょうど自動車が誕生してからだ。

自動車は代わりに事故の危険をもたらしてきた。史上初、自動車を作った人が事故も初めて起こした。18世紀中盤、蒸気で進む3つのタイヤ車を作ったフランス工兵将校ニコラ・キュニョーは坂道で試運転をし、壁を突き破った。車内にブレーキさえなかった時代の話だ。


会社間競争に火が付いて自動車はますます品を揃えていった。しかし安全のための配慮は常に後回しだった。シートベルトも1950年前後になって導入された。「ベトナム戦の設計者」ロバート・マクナマラ元米国国防相が「シートベルトの設計者」となった。軍服を脱いでフォードに席を移した彼は、衝突事故による負傷と死亡を減らすためには航空機のようにシートベルトをしなければならないと提案した。彼の言葉によってフォードは、シートベルトをオプションで提供し始めたが、消費者反応は意外に冷たかった。自動車が危ないという認識を植えたせいだ。「マクナマラが安全を売るかもしれないとしても、シボレーは車を売るのだ!」ヘンリ・フォード2世は不平を言ったという(スチーブン・レビットら「スーパー変わり者経済学」)。

弁護士出身消費者運動家ラルフ・ネーダーが65年に出版した「どんなスピードでも自動車は危険だ:アメリカの自動車に仕組まれた危険」(Unsafe at Any Speed)が一大転機を用意した。彼は鋭い金属製計器盤、ゆるくつけられたドアなど、安全でない構造のためスピートを出しすぎなくても事故時、死傷率が高いと暴露した。車があまり高くなるとかフォードの事例のように消費者たちが背を向けないかと心配で極度に微温な企業の行動も批判した。当時、車1台当たりのデザイン改善には 700ドルを使い、安全補強にはわずか23セントしか使わなかったという指摘だ。

以後、激しくなった消費者たちの圧力と関連法の制定で自動車の安全性は画期的に改善した。ところで最近、トヨタに続き、ホンダ・フォードなどが次々にリコールを始め、不安感が今一度高まった。電子装置が増えていつでも欠陥が出るというのに正確に何が問題なのかわからないからもっと恐ろしい。それに企業は依然、安全より利益にこだわる。信頼のもてない自動車に代わって、むしろ馬車の馬糞のにおいの方が気楽なものかもしれない。

シン・イェリ論説委員





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