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【グローバルアイ】トヨタと三星電子の「1位と2位の間」

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
 2日午前11時40分、トヨタ広報室から電話があった。 「名古屋のトヨタ本社で今日午後1時30分からリコール関連の緊急記者会見を開くので出席してほしい」という内容だった。 東京駅から名古屋駅までは新幹線のうち最も速い「のぞみ」に乗っても1時間43分。 それ以外の移動時間などを考えると、到底その時間には間に合わなかった。 常に合理的で完璧なトヨタの職員のこのような行動は初めてだった。 どれほど差し迫った状況だったのだろうか。

加速ペダルの欠陥によるトヨタ乗用車のリコール規模は世界で1000万台にのぼる。 本当に世の中は分からないものだ。 先日まで「品質神話」「日本製造業の自尊心」と言われてきたトヨタがこのようになるのだから。

企業は、2位から1位になるための戦略と、1位を維持するための戦略が異なる。 1位に追いつこうとする2位企業にとって最も大きな価値は迅速性と効率性だ。 そのほかは1位の背中を見て走ればよい。 しかし1位になった瞬間からは道を自分で探していかなければならない。 道をつくるために尖兵も派遣し、あらゆるものを突付いて見なければならない。 そうすると迅速性も落ち、コストもあちこちで発生する。 2位の時代とは違う‘不確実性’との戦いだ。


私はトヨタのリコール事態も同じ脈絡で見ている。 トヨタはずっと2位グループだった。 1位にはゼネラル・モーターズ(GM)という立派な先生がいた。 目指すべき目標と道ははっきりと見えていた。 トヨタとしてはコスト削減のための‘改善’に没頭していればよかった。 しかし07年にGMを抜いて1位になった瞬間から状況は変わった。 1位を維持するためには‘改善’だけでなく、未知の世界を開拓する‘改革’が要求される。 これはトヨタが経験してこなかったことだ。 しかし1位を守るには避けられない部分だ。 日本のある業界関係者は「100%の経営資源を‘改善’に置いていたトヨタが、1位になった後、‘改善7割・改革3割’に分ける過程で生じた混乱」と診断した。 2位の時は網に掛かっていた欠陥が、1位になった後くぐり抜けてしまったということだ。 このため1位の企業は難しい。

ちょうど同じ時期、三星(サムスン)電子の世界1位の電子企業に浮上するという話が出てきている。 ソニーをはじめとする1位グループから遅れていた時代、三星電子の最大の強みは迅速性と効率性だった。 トヨタと同じだった。 ソニーのように‘不確実な’分野に莫大な研究開発費を使う必要もなく、1位を追いかければよかった。 しかし今は変わった。 目に見えないものを見つけるための‘偵察費用’もかかるようになった。 意思決定の迅速性もこれまでと次元が変わるはずだ。 今では2位ではなく1位としてどう戦うのかを悩まなければならない。 もし体質の転換に失敗すれば、トヨタと同じようになるかもしれない。

したがって私はトヨタの事態を「日本製造業の崩壊」とのみ裁断するのは誤りだと考える。「1位になるよりも1位を守るのが難しい」という平凡ながらも恐ろしい真理は、どの国、どの企業にも例外ではない。

金玄基(キム・ヒョンギ)東京特派員



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