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新しい「沈清伝」、日本人観客を魅了

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版



24日、九州佐賀県名護屋城博物館ホール。

鼓手(太鼓を打つ人)のそばにさみしく立っている沈奉事(シムボンサ 「奉事」は目の不自由な人のこと)が悲しみを歌う。舞台は素朴だった。沈むかのように暗い色に染められた彫刻褓(チョガクボ=小切れに縫い合わせて作ったふろしき)だけ敷かれてあった。彫刻褓が集まり蓮華の形を作った。


演出家のチョン・ドヨンさん(40)がこの日公開した「沈清伝(シムチョンジョン)」の風景だ。日本文化庁と名護屋城博物館は韓国遺物特別展の付帯イベントとしてチョンさんの公演を招いた。観客の全員が日本人。およそ500人の観客は韓国から渡ってきた悲劇を静かに見守った。午前と午後2回の公演が終わると、佐賀新聞は「韓国伝統の芸能が1000人の観衆を魅了させた」という見出しで25日付・1面を埋めた。

◇新しく着替えた韓国の物語=「空席が1つも見えなかった」。26日に帰国したチョンさんは「期待よりはるかに大きな可能性を見た」と述べた。同氏は韓国の昔話が外国人と疎通する地点を見つけたようだった。「父のために死を選ぶ娘の心、その心を分かってあげなければならない父の悲しみが日本人の心に響いた」。

チョンさんは現代の観客との共感を探し求め、パンソリ「沈清伝」の唱本およそ10本を調べた。劇的な部分を絞り、胸を打つような感情を選び出した。「沈清が去った後、沈奉事が自分の気持ちを歌う部分は、どんな唱本からも見つけることができなかった。変でしょ?」

説明する形でのみ表現されていた父の心を、同氏は新しく作った唱で歌わせた。出演者は3人に変えた。1人が行うパンソリと数十人が出演する唱劇の中間「3人の唱劇」を作りだした。男性の役者は沈奉事と龍王、女性は沈清とペンドクの母、それぞれ1人2役を演じた。鼓手がナレーター役を務めた。舞台の装置も最少化した。背景は蓮華1つだった。

そのとき、日本から連絡がきた。知り合いの演出家、森村暁子が同氏を文化庁に推薦した。独立演出の経歴6年目を迎えた初の海外公演。チョンさんは喜んだ。韓国のソリ(韓国伝統の歌による芝居)で文化商品を作り、外国へ出るのが夢だからだ。チョンさんは日本の公演では、沈清が生きて帰ってくる結末の部分を果敢に省略した。

「日本人観客がハッピーエンドを知らないまま“これほど悲しい物語は初めてだ”とした。“後半に反転があるから、見たいなら私を来年にも呼ぶように”と注文した」。韓国の古典を新しく脚色して外国に紹介したい、というチョンさんの夢はこれからである。



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