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人気アイドルグループ「東方神起」のメンバー、ジュンスのミュージカル「モーツァルト!」。
新たに、舞台の主人は観客だという点を悟らせた。公演の主人公はほかではなく観客だという事実を--。
出演分(全15回)のチケット(4万5000席)を3時間で完売させたジュンス(シア、本名キム・ジュンス、24)が26日、「モーツァルト!」に初めて登場した。制作サイドは、万一の場合に備えて警護員を配置、劇場への出入りを制限した。
杞憂であった。会場内と外は静かだった。これといった騒ぎがなかった。ジュンスの初のミュージカルの舞台。ファンとしては満足できるものだった。最初やや緊張気味だったが、全般的には順調な滑り出しだった。特に歌唱力が目だった。第1幕の最後の曲「私の運命、避けたい」の部分がクライマックスだった。
恋人コンスタンチェ(チョン・ソナ)と突然キスする際、嘆く声が広がった。踊る場面で「呪文-MIROTIC-」に似た振り付けを披露すると、客席も盛りあがった。ただ一つ、歌詞の伝達力が落ちるのは残念だった。しかしこの日の主人公はジュンスではなかった。ほかではなく観客だった。
世宗(セジョン)文化会館のおよそ3000席がこれほどはまりこんだ場面はほぼなかった。公演の終始静寂に包まれたが、すぐにも爆発しそうな緊張感が伴われた。実はこの日の風景はイム・テギョンさんが出演した21日の公演とは対照的だった。
ジュンスとイム・テギョンという俳優2人を見てみると、キャリア・演技などの面でばイムさんが安定的だった。半面、21日の公演は満席ではなかった。空席が少し目についた。俳優の熱唱にも観客は静かに反応した。そのためか、作品も不十分に思えた。
ところが、26日、観客は静寂の中、ミュージカルに集中した。微細な動きにも即刻反応し、客席から送られる応援に、俳優らの呼吸も一致した。作品の密度が高まったのは、予定された結果だった。公演は俳優と観客の交感で完結するという、孔子の言葉だが、実際にはそれほど目にすることができない、そうした「真実」を確認することができた。
2時間40分、感情を抑えていた観客はジュンスのカーテンコールの瞬間、全力を尽くして叫んだ。節制された熱狂、ファン文化の進化だった。
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