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【時論】韓国戦争戦死者遺体の共同発掘事業は神聖なる義務

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
大雪の中、迎えた2010年は、民族同士で戦った悲劇の韓国戦争(1950~53)が勃発してから60年になる年だ。

個人の生涯でも60年間生きてきた年を「還暦」と意味付けている。孔子は「50は知天命、60は耳順」とした。「耳がしたがう」という耳順というのは、人生の経綸が積まれ、我執と執着をなくすことを意味する。成熟した思慮と判断で、他人の話を聞いて怒ることがなく他人を配慮するという意味を含んでいるのだ。

60年という歳月が与えるこうした成長は、個人にのみ限られた話ではない。目ざめている個人はもちろん、意味ある社会制度・機構とともに成長する民族は、過ぎた歴史を振り返り、新たな歴史を創造するため障害を乗りこえて進んでいく。宇宙から時を捕捉するのは、ひとまず自ら変化する時、可能になるといわれる。変化こそ成長に向けた最も肝要な要素に違いない。


現在「大韓民国号」は世界が注視する中、世界史の傷として残っている南北(韓国・北朝鮮)分断の60周年を克服し、韓半島の平和定着に向けて政府と民間組織が協力、平和の橋を築きつつある。李明博(イ・ミョンバク)大統領の新年演説にも、こうした時代の流れを反映した南北平和へのメッセージが含まれている。

中でも「北朝鮮との対話を通じ、韓国軍の遺体を発掘する事業を進めたい」という部分は、韓国戦争60周年を迎える時点に、これ以上先送りできない課題を示したものと考える。国民が共感できる具体的かつ実質的な方策を通じて和解と変革を模索しようとする意志が読み取られる。韓国軍遺体発掘事業は、韓半島の平和定着に向けた努力の重要な一軸になりうる。事業そのものが、韓半島で新たな平和の時代が開いたことを雄弁することになるだろう。

遺体の発掘はこの10年間、韓国地域でのみ行われてきた。南北が共に戦死者の遺体を発掘するという発想は、「戦争の終息」「真の人間の尊厳」「生命の回復」を実現するという意味も含める。これは、生き残った南北の国民が当然果たすべき「神聖なる義務」であることから、戦没者の遺族の痛恨を配慮しつつ、南北が互いに共感できる共通分母を見いだして傷を覆い、治癒する努力が同時に必要とされる。

07年11月に北朝鮮・平壌(ピョンヤン)で開かれた2回目の国防相会議は、戦争当時の双方の遺体発掘問題を扱い、共に推進対策を協議、解決する方針を決めた。しかし南北関係の停滞や北朝鮮の消極的な対応により、現在、留保状態にある。もちろん南北の体制対決で敗北した北朝鮮としては遺体の共同発掘に即刻、乗り出しにくいかもしれない。しかし、韓国地域で亡くなった人民軍の遺体を発掘し、北朝鮮の遺族に返すプログラムが共に実現される場合、北朝鮮としても意味深いことになるほかない。南北共存の道を模索できるということだ。

韓国戦争による孤児や未亡人への救護事業を展開してきた非政府組織(NGO)ワールドビジョンも今年で活動開始から60年目となる。これまで北朝鮮住民を助ける協力事業を進めながら得た大切な教訓は、やはり南北は同じ民族だという悟りだった。体制の異質性のため冷め切っていた北朝鮮住民の心も、韓国が真心から助けの手を差し出す場合は、用心深く扉を開けてくれた。

韓国戦争の遺体発掘事業に向けた青写真を取り出した政府当局も、今後はこうした姿勢で北朝鮮当局の心を動かしてほしい。最初は遠く厳しいものと思われるはずだが、一歩ずつ迫れば不可能なことではないからだ。冷たい地の誰も知らない所に埋められている高貴な遺体を捜し出し、きちんと礼遇するのは、発展した国家から恩恵を受けながら生きているわれわれの義務である。

南北が「韓国軍」と「人民軍」の遺体を共同で発掘し、それらの故郷に送るという発想の転換は、南北の歴史を創造することでもある。米国は世界のどこでも、国のため犠牲になった自国民の遺体を、どんな代価を払ってでも捜し出す。国民の尊厳を守り保護するのと同時に、国家の権威を守り保護する知恵だ。酷寒が退き、春が来るのと同じく、しばらくの間、凍りついた南北関係も解ける時が必ずやってくるだろう。韓国戦争による戦死者の遺体を発掘する南北共同のショベルの音が韓半島の各地から聞こえてくる日を期待してみたい。

朴宗三(パク・ジョンサム)ワールドビジョン会長



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