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【噴水台】「コレクション」の二つの顔

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版



グレゴリー・ヘンダーソン(1922-88)は韓国戦争(1950-53)後、駐韓米国大使館に勤めた。東洋文化に明るいヘンダーソンは韓国文化財に心酔し、収集した。ところがその量が多かった。63年に帰国するまでの6年間に300点余りを集めた。陶磁器が中心だった。価値のない陶磁器ではなかった。1世紀の土器から加耶・新羅の土器、高麗青磁、朝鮮白磁にいたるまで韓国史を網羅する最高級品だった。呼ばれてもいない全国の骨董品商がいくつもの品を包んでヘンダーソンの家を出入りした。ヘンダーソンの家の書斎には安平大君の書が、居間の煖炉の上には高麗の仏画が飾られていたという。ヘンダーソンが死亡した後、妻はハーバード大付設博物館に陶磁器150余点を寄付した。

「ヘンダーソン・コレクション」を眺める目はさまざまだ。戦後の混乱の中で消える危機にあった韓国の文化財を芸術愛好家が守ってくれたというのがの一つだ。もう一つは外交官の地位を利用して、多くの文化財を自国に持ち帰ったヘンダーソンの行為を文化的な盗み行為と見る目だ(キム・キョンイム「クレオパトラの針」)。ヘンダーソン・コレクションが作られた当時、文化財の搬出基準は非常にいい加減なものだった。62年に文化財保護法ができたが、指定文化財が海外に搬出されることも珍しくなかった。


主人の手を一度離れたものが戻ることを期待するのは難しい。他人のコレクションを盗品と主張して取り戻すには普通の知恵では不可能だ。2007年に米国のポール・ゲッティ博物館は、アフロディテ像などの看板所蔵品を含む古美術品40点をイタリアに返した。盗掘と密取引など不法経路で博物館に流れたという主張に屈服したのだ。イタリアは20年以上勤めてきたゲッティ博物館の首席キュレーターを盗品取引容疑で法廷に立たせ、恥をかかせた。担当検事は「博物館の収蔵庫を空にした証拠がある」と攻勢に出た。文化長官も乗り出して文化交流を中断すると圧力を加えた。全方向攻勢に博物館は白旗をあげた。

イタリアがゲッティ博物館を‘泥棒’扱いにしただけではない。遺物は返してもらうものの、同じ程度の価値がある他の遺物を長期貸与した。国際的な耳目を集中させた強穏両面術だった。懲戒を受けたゲッティ博物館は同年、ギリシャが黄金花冠の返還を求めてくると黙って応じた。最近、フランスが保有している外奎章閣(ウェギュジャンガク)儀軌の返還がまた座礁した。韓国政府は水面下でどんな戦略戦術を駆使しているのだろうか。

キ・ソンミン文化スポーツ部記者



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