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都市で雪はいたずらっ子だ。路地に積もっても、雪だるまも雪合戦も冬の趣もない。溶けかかっては再び凍って灰色に変わった廃棄物のかたまりであるだけ。「雪は生きている(…)/死を忘れた魂と肉体のために/雪は夜明けが過ぎても生きている」(キム・スヨン、「雪」)。しかしコンクリートジャングルの中、ただ掃除夫にとっては「積もる雪のかたまりの前に/私の心は闇」(コ・ウン「雪道」)か。
100年ぶりの大雪に塩化カルシウムばかり脚光を浴びている。塩化カルシウムは水気を自分の重さの14倍まで吸いとる。雪に撤けば湿気を吸収して溶けるが、このときに出る熱が周辺の雪をまた溶かす。特に塩化カルシウムに溶けた水は摂氏氷点下54.9度にならなければ凍らない。寒波の中でも道路周辺が凍らない理由だ。
塩化カルシウムは1968年、東洋化学で本格的に生産された。本来、この会社の主力商品はソーダ灰だ。人工調味料からガラス、せっけん、火薬まで使い道が多様なすぐれものだ。塩化カルシウムはこのソーダ灰を製造する過程で生じた、たいして益のない副産物であるだけだった。それが69年12月10日、塩と砂の代わりの除雪剤として登場する。ソウルに4センチの雪が積もると三角地(サムガクチ)と清渓川(チョンゲチョン)高架道路入口に初めて撒布されたのだ。
道路にも振り撤かれた塩化カルシウムは84年、家庭用として入ってくる。「水を吸収するカバ」だ。梅雨時、室内やタンスの除湿剤として変身したのだ。数多い「*** カバ」シリーズの嚆矢だ。最近は「お金を食べるカバ」という言葉も生まれた。低い人口増加率の主犯だか。寂しい話だ。
塩化カルシウムは雪もよく溶かしたが、腐食性も強い。塩の1.3倍だ。95年、聖水(ソンス)大橋崩壊の主犯ともいわれた。雪をなくすために毎年8トンほど撤いていたが、橋梁の継ぎ目の部位を急速に腐食させたというのだ。昨年、統一路沿いのイチョウの木100本が茶色になる褐変症にかかったことも塩化カルシウムのためだと明らかになった。土壌の塩度が高くなり、木から滋養分と水気が抜けたのだ。文明の産物はこのように利器ながら同時に凶器だ。
ということで、雪を片付けるのにはやはり木製の雪かきとほうきだ。すみに集めて日ざしを待てばいい。雪だるまもひとつの方法だ。「雪だるまは全身が胸だ/大きな胸の上に小さな胸を載せた人だ/だからそんなに早く溶けるのだ/跡も残らないのだ」(クォン・ヒョグン「雪だるま」)。それなのに早く溶けるよう急かさなければならないのか。立春まであとひと月も残っていないのに。
パク・ジョングォン論説委員
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