1866年の丙寅洋擾(ビョンインヤンヨ)でフランス軍が略奪して行った外奎章閣(ウェギュジャンガク)図書の国内返還訴訟で、「外奎章閣の図書はパリ国立図書館所有の国有財産」として棄却したフランス裁判所の決定は、略奪文化財が次々と元所有国に返還されている最近の国際傾向に逆行している。ユネスコ傘下の「文化財返還促進政府間委員会」(ICPRCP)が08年、「違法に略奪した文化財は元の所有国に返還すべき」として採択した宣言文も無視した。外奎章閣図書は明白な略奪文化財であり、所有権は大韓民国にある。フランス軍が強制的に奪ったものを国家財産に帰属させたフランス政府の行為も違法だ。
フランスは1993年9月、当時のミッテラン当時大統領の訪韓で1冊を返した後、さまざまな理由を挙げながら返還交渉を避けている。いまやフランスは最高統治者が対外的に明言した返還約束も守らない不誠実な国になったということだ。フランス政府は当初の合意通り「永久貸与」方式で外奎章閣図書を無条件に返還してこそ、こうした汚名をそそげる。今回の訴訟は、文化連帯という市民団体が国民の寄付金で主導した。私たちの大切な文化遺産を民間団体に任せたまま政府が袖手傍観してきたのは職務放棄だ。この問題を国際的な問題にして取り戻すという戦略的アプローチや意志もなく、17年間にわたりフランスの言いなりになってきた。
外奎章閣図書は正常に所有権が移転されたのではなく戦時中に奪取されたもので、返還は国際法的規範であり、韓国の当然の権利だ。国連協約は1970年以降に取引された略奪文化財にだけ適用される。しかしエジプトが外交的な努力の末、仏ルーブル博物館に所蔵されていたエジプトの古墳壁画4点を取り戻した例がある。政府が前面に出て文化主権を確保してこそ国の格も高まる。
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