＃しかし今年最も注目を集めた「ルーザー」は、やはりＫＢＳテレビ（韓国放送公社）のトーク番組「美女たちのおしゃべり」の中で物議をかもした「ルーザー女」だ。「背が低い男性はルーザー（ｌｏｓｅｒ＝敗北者、負け犬）。１８０センチはほしい」と話した。即刻批判が殺到し、男性視聴者は集団で訴訟を起こした。インターネット上では、発言した「ルーザー女」の女子大生の個人情報が流され、放送審議委員会の懲戒、制作チームの入れ替えにつながった。

この波紋で最も興味深い部分は、韓国社会に隠された一連の性的偏向性といえる。結局制作チームの交代で収まったものの、初期の批判は出演した女子大生に集中した。直ちに「ルーザー女」という烙印が押された。問題の発言を削除しなかっただけでなく親切に字幕まで入れていて、より大きな責任がある制作サイドに対しては「ルーザープロデューサー」「ルーザー男」「ルーザー番組」というタイトルは与えられていない。


事態は即刻「性的対決」に発展し、「糞女」（０５年、韓国の地下鉄車内で飼い犬が排せつした糞を処理せずに立ち去った女の呼称。韓国のブロガーによって命名された。ケトンニョ）、「テンジャン女」（ブランド好きで、見栄っ張りな女）、「ルーザー女」へと続く、何も考えずに生きていく情けない「問題女」につながった。

もちろん「ルーザー」という発言そのものは深刻に不適切なものだったが、万一、似たような発言を男性がしたとすれば、事態は少し異なったのではないだろうか。ある人は、今回の事態の本質を「女のくせに“君はルーザー”と指摘した。元々父である男性が行うべき名付け、線引きの権威に挑戦したもの」と定義付けた。万一、男性出演者が「体重４５キロを超えず、身長１６５センチにならない女はルーザー」と発言したならば、筆者のようなルーザー女はただ「狂った男」と腹を立てることにとどまったのだろうということだ。



【カルチャーコード】ルーザー女はいてルーザー男はいない？（１）

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