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【中央時評】核より不安な北朝鮮の貨幣改革

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
3年喪に服した金正日(キム・ジョンイル)が朝鮮労働党総秘書に就任した1997年、北朝鮮経済は最悪の状況にあった。 ‘苦難の行軍’と名付けられたその時期、工場は止まり、配給も途絶えた。 住民は職場を離れ、食糧を求めてさまよい、山には松の木の皮さえ残っていなかった。 数十、数百万人が餓死したという。 中国の図們から見える恵山には芝もない墓がただ並んでいた。 地上の楽園といっていたが、阿鼻地獄だった。

主体思想の「自分の運命の主人は自分自身」という言葉が浮かんだ。 本当に信じられるのは自分だけだった。 国営商店は閑散としていたため自然な流れで市場が生まれた。 物価はどんどん上がり、商売をしなければ生きていけなくなった。 計画経済が根本から崩れていたのだ。 しかし経済を立て直すために開放・改革へ進むことはできなかった。 社会主義計画経済は絶対に放棄できなかった。 それは体制維持の基盤であり、金正日自身の権力の土台だったからだ。 このため、計画経済の正常化に政策方向が決定されたのは当然のことだった。

しかし問題は‘どのように’だった。 どうすれば計画部門の生産が正常に稼働し、問題なく供給でき、住民をまた工場に戻らせることができるのかが核心だった。 90年代末、その具体案をめぐり平壌(ピョンヤン)で激論が繰り広げられたはずだ。 「貨幣改革派」はすでにその当時、貨幣改革を取り上げていただろう。 貨幣改革を通して人為的に物価を引き下げ、市場をなくそうという論理だった。 そうすれば住民が計画部門に戻ってくるしかないと主張した。 「改善措置派」は、上昇した物価を現実として受け止めようとし、「貨幣改革派」の主張に反論したはずだ。 その代わり賃金を引き上げれば物価に対応できると主張した。 さらに工場に自律権を与え、インセンティブ制度を導入し、生産を督励すれば、計画部門が順調に正常化すると、金正日を説得した。 新しくて果敢な論理だった。


金正日は「改善措置派」に軍配をあげた。 2000年ごろだったはずだ。 金正日も自ら変化の必要性を力説し始めた。 新しい思考が必要だと述べたのもその頃のことだ。 「新しい世紀に入っただけに、すべての問題を新しい観点で解決しなければならない」とも語った。 そして02年7月1日、経済管理改善措置は始まった。 物価が安定すれば、小さな単位貨幣が必要となるため、小銭も準備した。 今回の貨幣改革に出てきた低額券の発行時期が2002年であるのはこうした理由からだろう。

しかし現実には経済は期待に反して動いた。 むしろ市場は日々繁盛し、工場さえ国家計画よりも市場販売に関心を持った。 100ドル紙幣は住民に崇められ、商売で富を築いた中産階級も生まれた。

あれほど憂慮していた資本主義が芽生え始め、北朝鮮の社会主義が史上最大の危機を迎えたのだった。 ためらいはなかった。 政治的にも正常な社会主義を譲ってこそ世襲の正当性を主張できた。 このため金正日はまた「貨幣改革派」を呼び集めた。 おそらく3-4年前のことだ。 韓国銀行(韓銀)が5万ウォン券発行に2年余りかかったため、紙やインク・電気が不足する北朝鮮はそれ以上の時間が必要だったのだろう。

しかし貨幣改革それ自体では計画経済を保障しない。 計画部門の供給が正常に作動してこそ、市場に流れた住民と資本が帰ってくるからだ。 結局、計画部門の正常化に必要な原資材の確保が欠かせない。 このため金正日は2008年にすでに貨幣改革の準備を完了しておきながらも、時期を見計らっていたのだ。 対内的には自らの経済能力がある程度準備される時点、対外的には支援の土台が構築される時点を待ったのだ。 今年の北朝鮮の150日および100日戦闘はこうした対内的な努力の一環であり、中国高位層の北朝鮮招請と南北・朝米関係での融和的ジェスチャーは対外的努力の表れだ。

今回の貨幣改革は成果があるかもしれない。 しかし計画部門の供給が十分でなければ市場復元の動きはまた起きるはずだ。 食の問題であるうえ、すでに市場を経験しているため、市場に向かう遠心力はさらに強まる。貨幣改革まで実施した金正日が使用できる最後の措置は物理力の動員しかない。 軍隊を前面に出した当局と住民の全面衝突。 場合によっては暴力的流血事態という悲劇的な破局状況まで考えられる。 それが核よりも貨幣改革を不安に眺める理由だ。

                     曺東昊(チョ・ドンホ)梨花(イファ)女子大学教授・北朝鮮学



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