先週、平壌(ピョンヤン)訪問を終えた米国務省のボスワース特別代表(北朝鮮政策担当)の足取りから疲れた様子が感じられる。訪朝の結果を説明するため、ソウルを経由し、週末に北京や東京、モスクワに立ち寄った強行軍のためだけではないだろう。70歳という年齢も「米国務省の北朝鮮政策特別代表」という肩書のパワーから考えれば、理由とは見なしがたい。
老練な外交官ボスワース代表を疲れさせたのは、進退両難の「両困馬(ヤンコンマ、囲碁で両方を厳しく追い詰められた状態)」の状況にある北核問題と6カ国協議の解決策かもしれない。訪朝の直前、韓国政府は同氏に朝米間の平和協定を受け入れられないという断固とした原則を注文した。平壌で顔を合わせた外務省の姜錫柱(カン・ソクチュ)第1外務次官は、北朝鮮の核開発を「米国のため」と責任を転嫁した。
古いレコードをかけるかのように、平和協定の締結を執拗(しつよう)に求めた。平和協定の締結を出発駅と考える北朝鮮と終着駅に見なすという韓国の間で、ボスワース代表は妙策を見つけにくかったに違いない。北朝鮮制の兵器を積んだ貨物機がタイ空港に拘留された事件は、今後ボスワース氏をより困惑させるかもしれない。国連対北制裁決議1874号に真っ向から反する北朝鮮の行為が自身の訪朝直後に浮上したのだ。
詳しい調査の結果が出てこなければ分からないものの、北朝鮮はいかなる方式にでも反発することに違いない。こうなると北朝鮮を6カ国協議に復帰させようとしたボスワース氏の構想は崩れうる。朝米関係が再びこじれるのでは、と懸念する声も一部からあがっている。朝米関係は信頼づくりに向け、今後も厳しい道をたどらねばならない。双方がいますぐに韓半島平和体制問題を交渉のテーブルにのせにくいのもこうした背景からだ。
李明博(イ・ミョンバク)政権としてはやや余裕があると考えられる。しかし事情はそれほど甘くはない。朝米関係の変化に積極的に取り組み、韓半島の情勢を主導的に管理する責任が李政権にあるからだ。タイに拘留されている北朝鮮製兵器の問題でしばらくの間朝米間には冷たい気運が高まりうる。だが大きく見れば、ボスワース氏の訪朝をきっかけに朝米交渉の扉が開かれ、北朝鮮はオバマ米政権との接近を試みる可能性が高い。
韓米両国の政府は北核の解決という共同の目標を持っている。しかし長期・短期戦術の運用策にはやや隔たりがある。北核問題は韓国の懸案だが、世界政策を展開する米国の立場では米国の問題でもある。2国間の交渉を通じて北朝鮮を6カ国協議に復帰させるのがオバマ政権が目指す短期的目標だとすれば、李明博政権は6カ国協議そのものよりは北核問題の解決というより抜本的な目標を掲げる。
事実上、韓国が北核問題の解決策として提案した一括妥結案「グランドバーゲン(grand bargain)」と米国が提案した北朝鮮の後戻りできない非核化を前提とした「包括的パッケージ(comprehensive package)」は内容の面からは大きな差を見つけにくい。それでも双方が各国の用語にこだわるのは微妙な認識の隔たりが反映されているからだ。政府はこうした状況を踏まえ、北核問題をめぐる韓米両国の連携や北朝鮮へのアプローチを再整備する必要がある。
「グランドバーゲン」は一挙にすべての北核問題を解決できる打ち出の小づちになれない。北核関連の懸案で「ビッグディール」できたとしても、項目別に妥結していく段階に入れば、究極的に、「行動対行動」の方式になる公算が大きい。グランドバーゲンの方式だけに縛られていたら、李明博政権の任期中、時間だけ無駄にし具体的な解決策を作れない可能性があるということだ。だからグランド・バーゲンとともに単純(simple)かつ柔らかく(soft)、小さな(small)バーゲンも準備すべきだと勧めたい。国連の制裁に加わることや対話の並行という2つの経路(two tarck)だけでなく、グランド・バーゲンとスモール・バーゲンの配合も並行しなければいけない。
中央(チュンアン)大政治外交学科のイ・ジョウォン教授
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古いレコードをかけるかのように、平和協定の締結を執拗(しつよう)に求めた。平和協定の締結を出発駅と考える北朝鮮と終着駅に見なすという韓国の間で、ボスワース代表は妙策を見つけにくかったに違いない。北朝鮮制の兵器を積んだ貨物機がタイ空港に拘留された事件は、今後ボスワース氏をより困惑させるかもしれない。国連対北制裁決議1874号に真っ向から反する北朝鮮の行為が自身の訪朝直後に浮上したのだ。
詳しい調査の結果が出てこなければ分からないものの、北朝鮮はいかなる方式にでも反発することに違いない。こうなると北朝鮮を6カ国協議に復帰させようとしたボスワース氏の構想は崩れうる。朝米関係が再びこじれるのでは、と懸念する声も一部からあがっている。朝米関係は信頼づくりに向け、今後も厳しい道をたどらねばならない。双方がいますぐに韓半島平和体制問題を交渉のテーブルにのせにくいのもこうした背景からだ。
李明博(イ・ミョンバク)政権としてはやや余裕があると考えられる。しかし事情はそれほど甘くはない。朝米関係の変化に積極的に取り組み、韓半島の情勢を主導的に管理する責任が李政権にあるからだ。タイに拘留されている北朝鮮製兵器の問題でしばらくの間朝米間には冷たい気運が高まりうる。だが大きく見れば、ボスワース氏の訪朝をきっかけに朝米交渉の扉が開かれ、北朝鮮はオバマ米政権との接近を試みる可能性が高い。
韓米両国の政府は北核の解決という共同の目標を持っている。しかし長期・短期戦術の運用策にはやや隔たりがある。北核問題は韓国の懸案だが、世界政策を展開する米国の立場では米国の問題でもある。2国間の交渉を通じて北朝鮮を6カ国協議に復帰させるのがオバマ政権が目指す短期的目標だとすれば、李明博政権は6カ国協議そのものよりは北核問題の解決というより抜本的な目標を掲げる。
事実上、韓国が北核問題の解決策として提案した一括妥結案「グランドバーゲン(grand bargain)」と米国が提案した北朝鮮の後戻りできない非核化を前提とした「包括的パッケージ(comprehensive package)」は内容の面からは大きな差を見つけにくい。それでも双方が各国の用語にこだわるのは微妙な認識の隔たりが反映されているからだ。政府はこうした状況を踏まえ、北核問題をめぐる韓米両国の連携や北朝鮮へのアプローチを再整備する必要がある。
「グランドバーゲン」は一挙にすべての北核問題を解決できる打ち出の小づちになれない。北核関連の懸案で「ビッグディール」できたとしても、項目別に妥結していく段階に入れば、究極的に、「行動対行動」の方式になる公算が大きい。グランドバーゲンの方式だけに縛られていたら、李明博政権の任期中、時間だけ無駄にし具体的な解決策を作れない可能性があるということだ。だからグランド・バーゲンとともに単純(simple)かつ柔らかく(soft)、小さな(small)バーゲンも準備すべきだと勧めたい。国連の制裁に加わることや対話の並行という2つの経路(two tarck)だけでなく、グランド・バーゲンとスモール・バーゲンの配合も並行しなければいけない。
中央(チュンアン)大政治外交学科のイ・ジョウォン教授
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