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【コラム】先進国とのFTAは損だって?

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
韓国と米国の自由貿易協定(FTA)はこれまで長い道のりを歩んできた。 両国は2年にわたる交渉の末、07年6月に協定文に署名した。 韓米FTA批准同意案は2年半が過ぎてもまだ両国の議会を通過していない。 こうした中、米国からは再交渉をすべきだという主張が出てきている。

韓米FTAが韓国国会で批准・発効されるまでの道も順調ではないようだ。 野党と農民団体・労働団体・大学生団体の反発が相変わらず激しいからだ。 野党は昨年12月、批准同意案が外交通商統一委員会に上程された時、‘ハンマー暴力’で強硬対応した。

韓米FTAが越えるべき壁はまだある。 張夏準(チャン・ハジュン)ケンブリッジ大学教授の韓米FTA反対主張だ。 張教授の影響力は、著書「悪しきサマリア人」が2年間で35万部が売れたことからも分かる。


張教授は最近、ある日刊紙とのインタビューで「先進国とのFTA締結は韓国にとって損失で、後進国と締結すれば利益だという考えに変わりはない」と述べた。 4月の民主党招待講演では、「両国間で自由貿易をしても、レベルが近づいてから利益が得られる」と主張した。

張教授の国際貿易に対する考えが込められた本が「悪しきサマリア人」だ。 この本の要旨は「先進国と開発途上国の自由貿易は先進国に有利であり、このため先進国は開発途上国に自由貿易を強要し、開発途上国に産業を保護・育成する政策をとらせなくする。これにより1980年代以降、開発途上国の状態はよくなっていない」というものだ。

この本はよく売れた分、読者の反応も熱い。 ある読者はインターネット書店の書評で「FTAが新自由主義の陰謀が隠された取引であることが分かる」とコメントした。

現実は張教授の論理とは距離がある。 こうした事実は張教授の本にも出ている。 張教授は韓国・台湾・シンガポール・中国・インド経済が現在の貿易体制の中で成功したことを認めた。 これを例外とするには、これらの国が世界経済に占める比重があまりにも大きく、成功の程度が著しい。 80年代以降にも意志を持って力を集中した開発途上国は成功している。

また張教授は、先進国が開発途上国に自由貿易を強要すると主張したが、実際はそんなに簡単なものではない。 90年代の米国は、農産物と自動車で自由貿易を主張しながら韓国に市場開放を要求した半面、韓国の半導体に対してはいろいろと口実をつけながら関税を高め、輸入を制限しようとした。

開発途上国は張教授の主張と違い、産業育成政策を十分に駆使してきた。 開発途上国が追い上げてくると、先進国は自国市場を保護するための措置を取った。 代表的な例に、中国の浮上でさらに多くの貿易赤字を出した米国は、全般的に保護貿易主義の方向に傾いている。 重要なのは、先進国の貿易障壁を越えて韓国が産業競争力を高め、先進国との自由貿易で以前よりもっと利益を得られるようになったという点だ。

利害関係のために韓米FTAに反対するのは分かる。 しかし誤った観念を根拠とする反対はなくすべきだ。

                                    ペク・ウジン・エコノミスト次長



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