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【コラム】与えるのが受けることより難しい開発援助

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
大韓民国の地位が世界舞台で日々高まっているというニュースにより、国民の自負心もさらに強まっている。88年ソウルオリンピックと02年ワールドカップが韓国の産業化と民主化を象徴する祝典だったなら、来年11月にソウルで開催される主要20カ国・地域(G20)首脳会議は、韓国が世界の政治と経済の中心舞台に登場することを知らせるものだ。10日前にパリで開催された経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)では、韓国が世界24番目の加盟国になることで、光復(解放)後ずっと国際社会の支援を受けてきた国から供与国に立場が変わることになった。韓国が本当の意味で先進国クラブ入りすることになったというOECD事務総長の言葉を聞きながらも、「本当に私たちが先進国になったのか」という不安感が消えないのが、私たち国民の率直な心情といえる。それは韓国の先進化行進の弾力と妥当性を信じられないからではなく、こうした時であるほど過度な成就感やお祭りムードを自制できる自重と慎重さが求められるからだ。

特に経済発展過程で韓国の数歩遅れで追ってくる開発途上国に対する援助は、下手をすると猜忌と糾弾の対象になってしまうことを肝に銘じなければならない。支援を与えたり受けたりすることが決して容易なことではないというのは、人間関係だけでなく、国家関係でも留意しなければならないことだ。ともに貧困の困難を経験していた立場から、ある日誰かの暮らし向きが良くなり、金持ちになったからといって「今後は助けてやる」というように振る舞えば、過去の友人は当然、感謝の視線よりも糾弾の声を高めようとするだろう。しかも韓国の場合、DAC加盟国のうち公式開発援助の規模がまだ最も少ないということも忘れてはならない。したがって、開発援助国に入ることに伴い、今後は国際協力と支援に対する韓国の基本哲学と姿勢、目標、戦略、組織などすべてのものを慎重に整えていかなければならない。

数日前、「国際開発協力の挑戦と課題」をテーマにソウルで開催された国際会議の基調演説で、韓国と長い縁を持つネパール出身の外交官が非常に率直な忠告を残して行った。国連の事務次長補とユニセフの事務次長を歴任したクール・チャンドラ・ カウタム氏は長い間、開発途上国の女性と児童の福祉向上のための国際的努力に率先してきた指導者で、韓国の発展過程も格別の関心を持って見守ってきた友人だ。彼は韓国が国際援助を受ける国から与える国になった最初のケースなので、現在でも援助を受けなければならない開発途上国の韓国に対する期待は特別なものだと強調した。かつて帝国主義勢力であり現在では開発援助国になっている先進国の姿勢や政策とは質的に異なる新しい援助モデルを、韓国が見せることに期待しているのだ。韓国は開発途上国を、同情(sympathy)という先進国でなく、途上国と哀歓を分かち合う(empathy)友人であることを望むということだ。


それなら、スタート地点に立った韓国の開発援助は、どんなことを避ければ期待に沿うことがでいるのか。おそらく最も注意すべきことは、開発援助を国力誇示の手段として活用する展示行政の弊害といえるだろう。カウタム氏は韓国のアフガニスタン副大統領官邸の建築を一つの例に挙げた。公式的な開発援助と上部だけの援助は必ず区別すべきだということだ。開発援助が韓国の輸出増大や資源確保の手段として映ってもいけない。次に、開発援助対象の優先順位を賢明に選択する哲学と戦略を確立し、さまざまな援助プログラムが入り乱れず長期的な国家発展の根拠になる基本分野に一貫性を持って支援することが重要だ。自国の発展経験を振り返り、教育を通した人間開発に優先順位を置いたのが成功のカギになったことを記憶していれば、これを開発援助の政策決定に応用できるだろう。

要するに開発援助は国の品位、すなわち国格を国際社会で最もよく反映する分野であることを私たちはよく考えなければならない。与える自国の姿よりも、受ける国にどれほど役立つかを先に考える姿勢で臨む必要がある。古くから私たちの民族が守ってきた謙遜と分け合いの寛容の美徳を、地球村共同体の建設過程でも守っていかなければならない。国際社会は現在、開発援助の競争時代を越えて、供与国間の協調はもちろん、与える国と受ける国が援助の優先順位と執行戦略をともに相談しながら決める段階に入っている。私たちも開かれた心で先進国と開発途上国を建設的に連係する仲介の役割を自任する時だ。DACはもちろん、G20もこうした私たちの共生哲学を伝播する場になることを希望する。

                               李洪九(イ・ホング)元総理・中央日報顧問



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