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現代に生まれていたらロミオとジュリエットはおそらく揃って“百年偕老”(睦まじく共に老いること)のはずだ。ジュリエットがほかの男と結婚しないよう、にせの毒薬を飲んだという手紙をロミオが適時に受けとれなかったために2人して悲劇的最期を迎えたのではないか。今なら携帯電話でメール1通飛ばせば済むことだ。「ねえ、私、本当は死んでないのよ^^ 心配しないで待っててね(ハートマーク)」--。
実はこのごろの若い層は、携帯電話を通話よりメールで多く利用する。昨年、韓国の10代たちは1日平均25件のメールを送ったという。米国の10代は80件ずつやりとりしているというから、メール愛には国境がない。恋人や友達の仲の疎通を手伝ってくれる純粋な機能が大きいが、逆機能もあるのが問題だ。
言語破壊現象が代表的だ。文字のキーを打つのが面倒な中国では、発音が似ている数字を楽しんで使う。「愛してる」(我愛你=ウォアイニー)を「520」(オーアイリン)と、「死ね」(去死吧=チュィスーバ)という悪口は「748」(チースーパ)で代わりをする。英語圏は縮約がひどい。u(you=お前)、lol(laughing out loud=大笑い)、brb(beright back=すぐ行く)のようにだ。こんなおかしな言葉を日常対話はもちろん、レポートや履歴書などの公式文書にも憚りなく書くというから懸念の声が高い。
過度な文字入力は健康をも害する。親指と首の筋肉に無理を与えるのみならず、睡眠不足、集中力欠乏などを引き起こす。最近は自分と他人の生命を奪いとる運転中の文字入力が注目されるようになった。オックスフォード辞典が今年の単語のうちのひとつに「intoxicated」(酒に酔った)に倣った「intexticated」(携帯メール送信にうつつを抜かす)を挙げたほどだ。米国バージニア工科大の研究結果、運転中に文字入力をすれば普段より事故の危険が23倍も高くなることが明らかになった。飲酒運転や運転中の通話よりずっと高い数値だ。関連事故が続くと、先日米国ではGPSセンサー技術で運転中に通話と携帯メール送信を一切遮断してしまうとか、メールが入ってきたら声で読みあげてくれるサービスまで登場したという。
それだけ中毒が深刻だからだ。オーストラリアのクイーンズランド大学研究によると文字入力の中毒性は喫煙と匹敵するほどだそうだ。それなら運転中に文字入力の自制を個人の意志にだけ任せることではない。我々も法で禁じるとか、遮断技術を取り入れるなどしなければならない。合わせて文字入力に劣らず危険千万な運転中のDMB(Digital Multimedia Broadcasting)の視聴も。
シン・イェリ論説委員
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