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【コラム】「法治」を口にする資格のない国会議員ら

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
レストランに入ったスイスの州議員が突然拳銃を取り出し引き金を引いた。銃弾はある男の胸に打ち込まれた。その場には市警局長と検事もいた。疑う余地のない明確な殺人だった。証人も十分だった。しかし状況はおかしな方向に進んだ。証拠の拳銃がなくなるなどさまざまな理由で議員は無罪で釈放され、代わりに議員の友人が濡れ衣を着せられ自殺に追い込まれた。

スイスの代表的劇作家で小説家のフリードリッヒ・デュレンマットが書いた小説「法」はこうして権力と金力の前に無残に毀損される法律を描いている。法は国と社会を支える大黒柱だ。大黒柱が折れれば家も崩れるのは当然だ。小説の最後に著者はこう独り言を言う。「だれが罪人なのか。法を犯す人か。法を頒布する人か」。

法を作る人が法を蹂躙する姿を想像の中で描き警鐘を鳴らした小説家が韓国の現実を見たら驚くだろう。韓国の国会議員は毎年最高上位法の憲法を無視し踏みにじる。世宗(セジョン)市と4大河川をめぐり与野党が政争を展開し、今年も間違いなく法が犯されている。


憲法第54条第2項は、国会は会計年度開始30日前、すなわち12月2日までに予算案を議決しなくてはならないと規定している。1990年以来法定期限を守って予算案を処理した回数はわずか5回にすぎない。この6年間では1回も法を守ったことがない。違法の日常化だ。予算案処理が遅れれば来年の財政投資も遅れ、経済回復に支障を与えるという訴えも“馬の耳に念仏”になって久しい。

年末になると流行歌のように繰り返されるこうした恥ずかしい乱脈像をあえて取り上げたのは、無感覚となった韓国の「法治」が心配になったからだ。韓国議会には誤った伝統がある。与野党を問わず各種の政治・社会懸案をめぐって予算案通過とかけひきするのが常だ。こうした旧態は与党が野党だった時も、野党が与党だったときもまったく同じだった。

問題はこうした違法が繰り返されても防ぐ方法がないということだ。憲法に違反したが、議員らは何の懲戒や不利益を受けていない。こんな状況で「厳正に法律通りに処理する」と叫ぶその厚顔無恥が恥ずかしいばかりだ。そこで国民が乗り出そうという動きが起きている。法を犯した議員らを懲戒し、それすらだめなら歳費も減らすという立法請願をしようという提案だ。これに賛成するが、国民が議員らをより強くむち打てる確実な手段がある。一票だ。

小説「法」では金のために議員の無罪放免に力を貸したことを知った新人弁護士がよじれた法の現実の前に苦痛を感じながら決心した。正義を守るために直接議員を処断すると乗り出したのだ。われわれはこの弁護士のように直接行動が可能だ。一票で違法議員を峻厳に審判するのだ。法を無視する議員らに見せしめを示すのが賢明な有権者の姿勢だ。

キム・ジョンユン経済部門次長



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