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【時論】違法な妊娠中絶への取締りに異議を申し立てたい

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
大統領直属の未来企画委員会が少子化対策として「違法な人工妊娠中絶を取り締まる案」を協議中だという。

法的には96年以後、人工中絶する場合、医師・妊婦ともに懲役2年以下の処罰を受けることになっている。しかし諸状況から違法な人口中絶を黙認していたのが事実だ。「今後は確実に取り締まっていく」というのは、医師や妊婦を監獄に閉じ込めるということだ。だから今後、隣の家の奥さん、裏の家の奥さんに面会するために、そのつど監獄へ足を運ばなければならなくなりそうだ。筆者は医師でも法律家でもなく、堕胎(人工中絶)をかばおうとしているわけでもない。常にそうだったように、ただ女性の立場を代弁したいだけだ。

まず、罰するのなら男性を罰してほしい。妊娠と堕胎には必ず原因を提供する者がいて、処罰をするのなら2人とも受けて当然だ。法的には「原因提供者」の罪がより小さいかもしれないが、対応できない妊娠をさせた原因提供者の罪質がよりひどいものではないか。


未婚の母の場合、妊娠した瞬間から、中絶、出産いずれにせよすでにたくさんの罰を受けることになっている。終生背負う罪悪感や傷が残る堕胎を選ぼうが、終生、社会の冷たい視線とともに生きていくのが難しい人生を選ぼうが同じだ。ところが、原因を提供した男性は罪悪感もなく、別の所で同じようなことをやっているかもしれない。いまは最先端の時代だけに、堕胎する場合、DNA鑑定を通じて父を捜し出すのも不可能ではない。それでこそ男性も罰を恐れて、責任を取れる状況でなければ、率先して避妊に徹底するだろう。なぜ双方に責任があることをめぐり、すべての重荷を女性にばかり背負わせようとするのか。

第二に、女性の体を政府の政策に利用するなということだ。万一、人工妊娠中絶への禁止が、女性の健康が懸念されるためなら納得できる。しかし少子化対策として展開するものなら困る。わずかおよそ20年前までも人口減少を目指し、保健所でも中絶手術を行っていた。都合よく堕胎手術を行い、今度は中絶したからといって監獄に閉じ込めるということだが、政府は人口調整を女性の体を通じて実現するということなのか。それから毎年35万人ずつ中絶されていた子どもらが生まれてきて出生率が高まりすぎたと判断されれば、再び堕胎を強制するかもしれない。女性の健康など眼中にもない政府のことだからだ。

第三に、性教育と福祉政策が作られた後、堕胎法を強化するのが正しい順序である。事実上、堕胎を防ぐ早期かつ確実な方策は、男性に積極的かつ完璧な避妊法を教育することだ。10代の女性に対しても徹底的かつ早期の性教育を行い、シングルマザーになって学校を退学するようなことがないようにしなければいけない。万一シングルマザーになっても、ひとりで子育てや生計を立てられるよう福祉政策と社会の包容力も備えるべきだ。いまから福祉政策を講じていては、当面堕胎禁止により量産されるシングルマザーに対応できない。

予期せぬ副作用も少なくない。経済力のある人が「海外遠征出産」を考えるのと同じく、堕胎が合法的な国での「遠征堕胎」を考える人が登場するかもしれない。無分別な10代は堕胎のため、かつて祖母がそうしたのと同じく、丘の上から飛び降りたり危ない薬を投薬したりするなど、とんでもないことを考えるかもしれない。すき間を狙って闇で人工中絶手術を行い、金を稼ぐ無資格者も現れるだろう。

政府が諸側面をきめ細かく検討した上で中絶への取り締まりに触れているものか知りたい。あれこれと少子化対策を進めたものの、効き目がないから無条件に進めているのではないだろうか。もう一度言うが、堕胎が正しくないことだから防ごうというのなら、男性への避妊教育に徹底し、堕胎の原因を提供した男性を罰するのが正しい方向だ。

                                     オム・ウルスン文化未来イフ代表



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