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錦湖「在庫処分販売はブランドを傷つける」 全量廃棄

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版



「骨身を削る思いを胸に在庫タイヤを廃棄しなさい」。

今年4月に赴任した錦湖(クムホ)タイヤの金宗鎬(キム・ジョンホ)社長(61)は6月末、全役員にこのような特命を出した。これを受け、同社のチーム長級以上の約100人は週末を利用し、全国の物流センターを回りながら在庫タイヤを道具で引き裂いた。


処分されたのは2年以上経った在庫タイヤ約20万個。販売しても特に問題のない製品だ。ごく少数の製品だけ弾力が少し弱まり、やや乗車感が落ちる程度だ。1個当たりの消費者価格は10万ウォン(約7600円)前後であるため、総額では200億ウォンを超える。

これに先立ち営業担当の役員は「1個当たり2-3万ウォンで海外で輸出しよう」という意見を出した。これに対して金社長は「ノー」と答えた。金社長は「在庫を流通させて顧客から品質が悪いという評価を受ければ、今まで守ってきた錦湖ブランドを丸ごと失うことになる」と指摘した。また「赤字を減らすためにブランドを傷つけるようなことをすれば再起が不可能になる」とし、全量廃棄を指示した。

金社長は条件を付けた。役員とチーム長級の全員が全国流通網から隠れた在庫を探し出し、自ら引き裂いて廃タイヤとして処分しろという厳命だった。正常なタイヤを自ら引き裂きながら「過剰生産」と「押し込み販売」の後遺症を実感しろということだ。

錦湖タイヤは02年から3年間、営業利益率が10%を超えるなど系列会社の中で最高の利益を出していた。しかしこの数年間は過剰生産による流通在庫が悩みの種だった。今年7-9月期まで営業赤字は1614億ウォンにのぼった。今年で創業50年目になるが、初めての赤字が予想されている。

金社長は赤字の原因として「研究・生産・販売」の3拍子が崩れている点を挙げた。研究所は競争力が落ちる製品を開発し、生産は市場の変化に対応せず楽に生産できる製品ばかりを生産した。代理店に押し込むように販売してきたため、帳簿上は黒字だが、大量の在庫が隠されていた。

金社長は直ちに3部門の責任者を交代させた。そして数年間隠してきた流通在庫をすべて帳簿に反映させるよう指示した。赤字が明らかな状態で地域の本部長らは問責を恐れ、相次いで縮小報告をしたからだ。イ・ハンソプ本部長(専務)は「在庫タイヤを回収して処分したことで、放漫だった生産・販売を反省する機会になった」と語った。

金社長は原則論者として有名だ。今年4月、販促のために全国の営業支店長と一緒にした登山大会で、一部の支店長がコースを短縮して頂上に登って待っていた。中間寄着点でこれに気づいた金社長は「規則を破った人たちが戻って来るまでは一歩も動かない」と述べ、反則者を元の位置まで戻らせた後、全員一緒に頂上まで登った。



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