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朝鮮純祖(スンジョ)24年(1824年)6月だった。咸境道安辺(ハムギョンド・アンビョン)の官衙で軍官として働くキム・グァンジェの家に気性の激しい虎が入ってきた。虎がキム・グァンジェをくわえて出ようとすると、60を過ぎた彼の妻の趙さんが夫の体をつかまえて放さなかった。妻は「夫の代わりに私をくわえてお行きなさい」と自ら虎の口の前に身を投げた。虎は夫の代わりに妻をくわえて行ってしまった。咸境監司がこの事実を朝廷に知らせ、礼曹判書からは趙さんのために烈女門を立てた。
英祖(ヨンジョ)の時は虎の被害がもっとひどかった。朝鮮王朝実録を見れば英祖10年(1734年)夏・秋、虎によって140人が命を失った。翌年春にも江原道(カンウォンド)の嶺東(ヨンドン)地方で40人が虎に噛みつかれて死亡した。英祖28年(1752年)には虎がソウル都城の中はもちろん、景福宮(キョンボックン)の裏にまで入ってきた。
恐怖の対象だった韓国の虎も日帝強占期、大々的な狩りが行われて姿を消した。1922年、慶北大徳山で射殺されたのが南韓の最後の虎だった。北朝鮮では北部高山地帯に残っているというが10頭がいないものと知られている。
虎は世界的でも危機に処している。虎の8亜種のうちカスピ虎、バリ虎、ジャワ虎は20世紀に絶滅した。南中国虎も83年以後、観察されていない。インド虎(ベンガル虎)とインドシナ虎が約1500頭ずつ、スマトラ虎が400~500頭程度残っているだけだ。
シベリア虎(アムール虎)と呼ばれる韓国虎は、ロシアの野生で約500頭、動物園で400頭が残っているという。中国の動物園には900頭がいるが、野生には20頭程度にすぎない。
環境部は先月の韓ロシア環境協力会議時、ロシアに韓国虎3頭を送ってくれと要請した。果川(クァチョン)ソウル動物園を含め、国内動物園にも米国、中国などから持ちこんで繁殖した韓国虎が20頭以上いるが、大部分いとこ、又いとこの関係だ。近親交配が繰り返され、白内障や視力低下などの遺伝病を持つ虎も少なくない。
一時、黄禹錫(ファン・ウソク)教授が韓国虎のクローンを試みたが成功できなかった。成功したと言っても虎同士がまったく同じ遺伝子だけを持っていれば「生きている剥製」にすぎない。元気な韓国虎を維持するためには切れた生態系を継ぐのが先だ。それが難しければ遺伝子を交換できる国際協力に関心を注がなければならない。
カン・チャンス環境専門記者
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