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【コラム】「背が低い男はルーザー」 自らの立場を把握できない地上波テレビ

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
 ある女子大生の発言のため韓国社会が騒がしくなっている。その女子大生は放送で「背が低い男はルーザー(loser、敗北者)」と話した。「容貌が競争力になる時代では(男性の身長は)180センチ以上でなければいけない」と声を高めた。9日に放送されたKBS(韓国放送公社)2番組「美女たちのおしゃべり-女子大生特集」でのことだ。

聞き流すこともできる言葉だ。背が低い男性を好まないのは個人的な好みでもある。理想のタイプを話して盛り上がるのも最近の女子大生らしい姿だ。しかしそう簡単に済ませることでもない。友達同士の会話ではなく、大勢の視聴者を対象にした地上波テレビ放送がその舞台だったからだ。

放送の後、「ルーザー」がリアルタイム検索語に浮上し、この女子大生は「サイバーテロ」に苦しめられることになった。背が低い男性の悲憤慷慨は、KBSを相手取り言論仲裁委員会に1000万ウォン(約75万円)の損害賠償を請求する調停申請を出す状況にまで発展した。波紋が広がると、この女子大生は「台本通りに話しただけ」と釈明し、制作スタッフがこれに反論するという事態まで生じた。


しかし問題は台本が存在したかどうかではない。女子大生の正直な発言であれ、台本通りの発言であれ、重要なのは「ルーザー」という発言がそのまま電波に乗ったという事実だ。放送で「背が低い男は嫌いです」と話すのと、「背が低い男はルーザーだ」と話すのでは次元が違う。前者が極めて私的な好みであれば、後者は「差別」を帯びた‘烙印’に近いものであるからだ。

放送が生放送ならまだしも、この放送は事前に録画されたもので、制作スタッフが編集する時間は十分にあった。放送局は‘親切にも’英語で「loser」の字幕を入れていた。差別を助長する発言が堂々と放送されるのが納得できない。しかし芸能番組に倫理的感受性がきちんと作動するのを期待すること自体が無理なのかもしれない。最近の芸能番組では、容貌の優越性と差別をコードとして強調しているのが一般的な傾向になってしまっている。

しかしよく考えなければならない。公営性を前面に出した放送局が「差別」を素材に利益を得てもよいのか。放送は1個人の極めて私的な発言であっても社会の倫理を破壊させる可能性がある。放送に社会的責任意識を要求するのもこのためだ。公共財である電波が強大な伝播の力を持つという事実を恐れる必要がある。



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