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【その時の今日】大韓帝国、民心慰めるため「青果店逮捕令」下す

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版



冬は生命に敵対的な季節だ。多くの生命体が冬を越すことができず倒れてしまう。そうでない生命体も最小限の生命活動だけ維持したまま、辛うじて生き残る。冬の寒さを越すのは「やっとのこと」である。植物は葉を落とし枯れた木のまま冬を過ごし、冬の間じゅう寝ている動物もめずらしくない。人も変わらず、かつて冬は最小限の物資でようやく耐えていく季節だった。

人の越冬には燃料や食べ物が必須だった。冬季向けの食べ物は長期間腐らないよう発酵または干して作った。こうした食べ物で、味を問うのは贅沢なことであった。逆説的ではあるが、今日ではこうした冬季向け料理特有の味や香りが各民族の食文化を代表するものとして扱われる。


韓国人は四季を通して発酵させた野菜を食べていたため、あえて冬季向けの食べ物を別途作らなかった。ただ冬には一度にたくさんの量を漬けておいて、少しずつ食べた。キムチひとつだけで越冬しなければいけなかった貧しい家の人々は、毎日味が少しずつ変わることで慰められるほかなかった。秋の終わりごろ、キムチを大量に漬けて保存するのを「沈蔵(チムジャン)」と呼んだが、この言葉が「チンジャン」になった後、再び「キムジャン」に変わった。平凡な人々にとっては越冬の準備も厳しかった。一世代前まで、冬を控えた主婦は、練炭の倉庫に練炭をいっぱい積んでおいて、庭の片隅に埋めた大きな甕にキムチをいっぱい詰めておかなければ安心できなかった。

1903年11月11日、キムジャンのピークだった時期に、ソウル市内から突然、野菜が姿を消した。警武庁がすべての青果店を逮捕してしまったからだった。政府が数年前から白銅貨を乱発した結果、同年、深刻なインフレが起こったのだ。野菜の価格が数倍も上昇、キムジャンを準備できなくなった婦女子らは地団駄を踏んだ。目前に迫った越冬が懸念されれば、国を怨むほかなかった。警武庁が青果店を逮捕したのはこの怨みを和らげるためだった。それでも物価は下落するはずがない。関係のない商人ばかり苦労しただけで。

国民の越冬に関する心配を減らすのは王政の基本のひとつだった。朝鮮総督府さえキムジャン・シーズンには市場への取り締まりを中止し、独立後の歴代政権もキムジャンシーズンの物価管理に頭を悩ませた。いまやキムチは消えていく風俗である。キムチの冷蔵庫がキムチの甕を遺物にしてしまい、工場のキムチがキムジャン・キムチの居場所を奪った。商人だけいじめる物価の取り締まりという喜劇もともに幕を下ろしてほしい。



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