9日付の米紙ニューヨークタイムズが韓国出身の養子の厳しい現実を扱った特集記事を掲載した。1953年以降、昨年まで約16万3000人にのぼる韓国の子供が外国で養子縁組し、うち大多数が米国に渡ったという。ところが今回ある研究所が韓国人養子を対象にした実態調査を行ったところ、大半が成長期に各種の人種差別を受け、それによってアイデンティティーの混乱を体験したことがわかった。自ら白人だと考えたり、白人になりたいとする回答が78%にのぼることだけでも、それらが耐えてきた苦痛の深さが推測できる。
これまで「孤児の輸出国」という汚名の返上に努めてきたものの、依然として少なくない韓国の子供がなじまない他国で養子縁組させられるのが現実である。それらのほとんどが未婚の母が産んだ子どもだ。昨年海外で養子縁組した1250人だけにしても、9割がそうだった。未婚の母とそれらの子供に対する韓国社会の冷たい視線から、トラブルの多い海外での養子縁組が絶えずにいるのだ。
1カ月前には同問題を指摘した特集記事が同紙に掲載された。韓国社会が「シングルマザー=犯罪者」扱いするため、大半のシングルマザーが子育ての権利をあきらめ、中絶や海外の養子縁組を選ぶほかないということだ。手放している韓国政府の代わりに、成人になって韓国に戻った養子や外国の養父母らが出てシングルマザーへの支援活動を展開する事情も紹介した。目覚ましい経済成長を実現し、主要20カ国(G20)の一員にもなった国として恥ずかしいことといわざるを得ない。
これまで政府の「未婚の母への支援策」が遅々として進まなかったのは、婚前性交渉をダブー視する社会通念である理由が大きい。もちろんシングルマザーになるのは決して望ましいことではない。しかし、若年層の性意識が急変し、シングルマザーが着実に増えつづけているのが韓国の現住所だ。07年の公式統計に表れた10代のシングルマザーだけでも約3500人にのぼる。家庭と学校で責任を強調する性教育を行い、予防に万全を期すのを優先すべきだ。しかしすでに未婚の母になった10代や成人女性を社会的に保護するための装置も作らねばならない。
最も急がれるもののひとつが、10代のシングルマザーに教育の機会を与えることである。昨年末、教育科学技術部が調べたところ、10代のシングルマザーの85%が退学したが、大半が学業の継続を望んだ。おりしも訪韓中のバチェレ・チリ大統領から見習わなければいけない。同氏は大統領就任後、数千カ所にのぼる低所得層向けの国立乳児院を設立したが、中には高校内に設けたものもある。10代のシングルマザーが子どもを預けて、勉強を終えた後、職業を得て、きちんと子育てできるよう配慮した措置だ。
10代のシングルマザーが学業を続けられなくなる場合、失業や貧困につながり、それらの子どもまで疎外階層になってしまう可能性が高い。世界一の少子化で子どもひとり一人が貴重になっている韓国で、未婚の母の子どもだからといって放っておくわけにはいかないだろう。シングルマザーへの支援策は、「養子縁組の大国」「中絶共和国」という汚名をそそぎ、少子化時代に賢く取り組める解決策になる可能性があるという点に留意すべきだ。
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1カ月前には同問題を指摘した特集記事が同紙に掲載された。韓国社会が「シングルマザー=犯罪者」扱いするため、大半のシングルマザーが子育ての権利をあきらめ、中絶や海外の養子縁組を選ぶほかないということだ。手放している韓国政府の代わりに、成人になって韓国に戻った養子や外国の養父母らが出てシングルマザーへの支援活動を展開する事情も紹介した。目覚ましい経済成長を実現し、主要20カ国(G20)の一員にもなった国として恥ずかしいことといわざるを得ない。
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