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百の昔の言い方は「オン」だ。「全世界」(オンヌリ)の「オン」のように「すべて」という意味で命脈を継いでいる。1700年ほど前、百済官吏の官職名からオンの原型を見ることができる。数学者であるキム・ヨンウン檀国(タングク)大学教授によると、16段階の官職のうち序列3位は「恩率」だが、頭の文字の「恩」が百を意味する。日本でこの「恩」は「オン」と読む。慶尚(キョンサン)大学のチョ・ギュテ教授は2006年の論文で「百を意味するオンは古代チュルク語やウィグル語で十を意味する“on”を借用したもの」と主張した。三十(ソル+ウン)など10単位の数詞に入っている「ウン」の音も「オン」に起源を置いたもので、合成語ではもとの意味である10として使われるが、単独で使われるときは100に変わったのではないかというのが彼の推論だ。日本人は数が多いという意味の「八百」を「やお」と発音する。「百」を「お」と読むという点で、韓国語の「オン」の体臭が感じられる。
実は韓国語と日本語は多くで似ている。ところが言語間の近さを測定する尺度という捜査では相関性の究明がきちんと行われていない。3、5、7、10の日本語の数詞が昔の韓国語に対応するということを1910年代、新村出ら複数の日本人学者が明らかにしている。例えば「三国史記」に「難隠別」という所を「七重県」にするという記録があるが「難」は「7」を意味する日本語「なな」やモンゴル、満洲語の「ナダン」と対応するといったふうにである。しかし残りの数詞は五里霧中だった。キム教授が最近、糸口を見出して未解決数詞をすべて解いたと主張する。彼が日本語の百、すなわち「もも」の由来を解いた部分もおもしろい。ももは国語「モドゥ(すべて)」の古語「モド」が「モノ」を経て変わったものと説明される。「モノ」は「ミナ」にも変わったが「モドゥ(すべて)」という意味だ。「オン」の使われ方に似ている。
3日前、命名式を行った初の砕氷研究船の名前が「アラオン」だ。海や大水を意味する「アラ」に「オン」を付けたのだ。厚い氷を壊して南極や北極を含み、すべての海を回るという意味を込めたという。今年7月末に初お目見えした国産ヘリコプター「スリオン」もワシ(スリ)にオンを組み合わせて付けた名前だ。漢字語の洪水で朝鮮後期に消えてしまった純粋な固有語をうまく生かしたものだ。アラオンの誕生同様、オンの帰還もうれしいことだ。
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