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ライバルはいない、ヨナのライバルはヨナだけ(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版



技術だけではなく芸術性ももつ。世界選手権大会が終わった後、ソニア・ビアンチェッティ前ISU議長は「2009世界選手権レビュー」を通じて「これまで新採点制の下で忘れるほかなかった“芸術演技”をキム・ヨナが見せてくれた。特にショートプログラム『死の舞踏』はカタリナ・ビットの『カルメン』、アレクセイ・ヤグディンの『ウィンター』などとともに歴史に残る演技だ。泣かされた」とし「新採点制のもとでは、そうした演技をする方がむしろ珍しいと言える。ありがとう、キム・ヨナ」(Thank you Yu Na!)と語った。

ここにキム・ヨナは賢さも見せる。キム・ヨナは2007年のシニアステージになってから、すでにオリンピックを念頭に置いた長期計画を立てていた。決戦地がバンクーバーであることを勘案し「カナダのフィギュアの英雄」ブライアンオーサーコーチと呼吸を合わせ、決戦地まで飛行機で5時間離れたカナダのトロントで1年のうちの8~9カ月を送った。おかげでカナダはキム・ヨナにとって「第2のホーム」となった。オーサーコーチを愛するカナディアンたちは、キム・ヨナにも熱烈な支持を送る。


キム・ヨナは競技中、突発状況に落ち着いて対処できることでも有名だ。昨シーズンのグランプリシリーズ第3戦で、キム・ヨナはフリースケート初のジャンプトリプルフリップ-トリプルトウループ連続ジャンプを決められなくなると、残りのジャンプを次のジャンプに連結する巧みな競技運びで加算点を取った。世界最高記録を立てた今回のグランプリシリーズ第1戦でもキム・ヨナは、フリースケーティングの途中でリンクに異物を見つけると2番目のトリプルフリップジャンプをあえて跳ばなかった。トリプルフリップジャンプを試みて倒れれば、むしろ全体的なプログラム構成点数で大幅に減点されるという判断をしたのだ。予期せぬ負傷をあらかじめ防止する意味でも、フリップジャンプを跳ばなかったことは、キム・ヨナにとってむしろプラスとなった。

イ・ジヒ副会長は「キム・ヨナはすべての採点要素でどれひとつ落ちるところがない。2006~2007シーズン以降に出場したすべての大会で3位以内に入るだけに起伏もない。負傷していても平均成績を維持するのがキム・ヨナだ。審判たちがキム・ヨナに注目するのは、世界最高記録よりもコツコツと実績を積み重ねてきたから」とし「めったにミスのないキム・ヨナをほかの選手たちが超えるのは容易でない」と見通した。

バンクーバーへ行く道、キム・ヨナがすべきことは

大丈夫だと言っても安心はできない。2006年のトリノ冬季五輪を控え、大部分のフィギュア専門家はサーシャ・コーエン(米国)と村主章枝(日本)の金メダルを予想したが、「オリンピッククイーン」の栄誉は荒川静香(日本)に渡った。イ・ジヒ副会長は「荒川選手が欲を捨てて楽な気持ちで大会に臨んだのがよかったようだ。キム・ヨナも負担を感じずに、楽な気持ちで競技することが重要」とし「負傷の管理もオリンピックの最大のカギだ。毎シーズン負傷に苦しむキム・ヨナが2008~2009シーズン以後は最高のコンディションを見せ、出場する各大会で良い成績をおさめている」と助言した。これを知らないわけはないキム・ヨナは、昨年10月から担当の物理治療師とともに来年2月を狙って身体のサイクルを調節している。訓練プログラムも大変なだけという体力訓練をやめて、フィギュアスケートに合ったソフトな運動に変えた。

キム・ヨナにもうひとつ残された課題は「自分自身を超えること」だ。イ・ジヒ副会長は「今も十分に頑張っているが、もう少し欲張れるならレベル3~4を行き交うスピンをもう少し精巧に磨けばいいと思う。今、平均1点台である審判の加算点も2~3点まで上げられるだけに、ライバルがいなくても、今よりもっと高い点数を目指して進めばいいと思っている」と話した。



ライバルはいない、ヨナのライバルはヨナだけ(1)

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