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「会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ」
齊藤正明著 ヤン・ヨンチョル訳、ソドル
204ページ 1万1000ウォン
職場で積極的に意見開陳していては馬鹿になるという式の典型的なガイドラインとはかけ離れている。気弱な研究員だった著者は上司からマグロの鮮度維持剤の開発のため「マグロ漁船に乗ってこい」と指示される。一度乗り込めば43日間帰ってこられず、体を曲げて寝るなど劣悪な環境。著者は閉鎖された環境でストレスを受けずチームワークを発揮する船長と船員のコミュニケーション技術と姿勢に感動する。
例えば1人の船員がサメにかまれかねない危険なミスをした瞬間、船長は「せっかくマグロが捕れているのに、こんなときにお前がけがをすればみんなが困るじゃないか」と叱る。叱り飛ばしてはいるが、そこにはその船員が船にはなくてはならないとても重要な人物だというメッセージが込められている。なにかと未熟な新人船員が夜遅くまで甲板の掃除をすれば「お前がこんなに一生懸命なら俺たちも一生懸命やらないと。そんな気持ちが起きなければ人間じゃない」とほめる。
乗船経験を通じて会社が停滞した最大の原因は社員が自由に意思表示できない雰囲気のためだと悟った著者は、陸に戻ると組織のムードを変え(その内容は具体的には書かれていない)、企業コンサルタントとして進出した。組織で生き残る方法を語るのではなく、組織を生かす方法を語る本だ。単純な組織のメンバーよりはリーダーが参考にすべき。
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