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伝説的ファンドマネジャーであるピーター・リンチは「複利の力を信じなさい」という投資金言を残した。1626年、米国原住民(インディアン)が、白人移住者に売ったマンハッタンの地価24ドルを例に挙げた。多くの人が原住民の方が愚かだったと思ったが、そうではないともいえるというのが、ピーター・リンチの計算法だ。原住民が年間8%の複利で預金したと仮定しよう。ピーター・リンチが電卓をはじいた1988年、24ドルは30兆ドルに増殖した。その年のマンハッタンの地価(562億ドル)の530倍だった。今年の基準で計算すれば24ドルはもっと膨らみ、151兆ドルになる。
元金に利子を付けてまた元金化して、ここに利子をまた付ける複利は2つの顔の掛け算だ。貯蓄する人には福を与える福利で、借金を返すことができない人には苦痛を与える暴利だ。アルベルト・アインシュタインが「最も強い力は核爆弾ではなく複利」で「複利は人類の最も偉大な発明品」といったという説もある。彼が本当にそんなことを言ったかは疑わしいが、複利の威力をよく表した言葉であることだけは確かだ。
複利は電卓なしに数えにくい。それで開発されたのが胸算用のための法則だ。元金を2倍にする期間と金利を非常に容易に算出してくれる「72の法則」(the Rule of 72)が代表的だ。例えば年間6%金利の預金が2倍に増える時間を調べるためには72を6で割ればばよい。答は12(年)だ。72の法則は15世紀のイタリア数学者ルカ・パチョーリが原理説明なしに利用法だけ紹介した。以前から使われていた可能性が高いという話だ。数学が発達した後にはもっと精巧な「69.3の法則」に整えられた。しかし近似値を簡単に得ることができる72の法則は依然として愛用されている。元金をそれぞれ3倍と4倍にする「114の法則」と「144の法則」は類似発明品だ。
三星(サムスン)電子が創立40周年を迎え、昨年1103億ドルだった売上額を2020年4000億ドルに引き上げると発表した。概算して「12年間で4倍の売上」だ。一見、途方もなく見えるが、144の法則によって売上を毎年12%(=144÷12年)増やせば達成可能な目標だ。過去10年間、売上6倍達成(フォーチュン500大企業資料)に成功した戦績もある。それぞれ数倍上向きの目標を取ってみる必要がある。複利の力を信じて精進すれば思ったより難しくないといえそうだ。
ホ・グィシク経済部次長
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