最近公開された北朝鮮改正憲法の特徴は、一言で軍事国家を憲法的に制度化したものと見られる。1972年の憲法が「革命的首領論」を法的に制度化した「主席制憲法」なら、98年憲法は先軍政治を法的に制度化する次元の「国防委員長体制憲法」だ。2009年憲法は98年、憲法改正当時、きちんと反映できなかった「先軍革命路線」に関する内容を具体化し、国防委員長の権限と任務を新設したのだ。
98年の憲法改正時は、国防委員会中心の国家機構改編を断行したが、権限と任務に対して具体的に明文化することができなかった。おそらく金日成(キム・イルソン)主席の死後、過渡的危機管理体制で運営し、情勢が好転すれば正常国家体制に還元しようとする意図で臨時的なリストラクチャーをしたのではないかと思われる。その結果、国防委員会は「国家主権の最高軍事指導機関であり全般的国防管理機関」として、国防委員会委員長は「一切の武力を指揮統率し、国防事業全般を指導する」とし「国防」に限定する管理と指導を明文化した。しかし実質的では国防委員会委員長が国政全般を運営する「国家の最高職責」だった。
ところで今回の改正憲法では国防委員会委員長の任務と権限を大幅に強化してこれまで実質的に行使してきた権限を憲法的に制度化した。国防委員会委員長は北朝鮮の最高指導者で国家の事業全般を指導するだけでなく、条約批准廃棄、非常事態宣布などに関する任務と権限が付与された。西側式大統領制と類似の権限が与えられたように見える。
北朝鮮は金日成主席死後、金正日(キム・ジョンイル)時代基本統治方式として先軍政治を標榜した。98年、憲法改正当時には国防委員会中心の国家機構体系を用意したが、先軍体制をともなう指導思想を具体的に反映することができなかった。今回の改正憲法で、主体(チュチェ)思想とともに先軍思想を「自己活動の指導的指針とする」と述べ、軍人を主権階級の一つとして追加した。72年の憲法には「兵士」が主権者として入っていたが、98年の憲法で抜けてから今回「軍人」と用語を変えてまた追加された。先軍思想を指導思想と、軍人を主権者として追加することで、軍事国家を憲法的に完成させようとしたものとみられる。先軍思想は主体思想と同格とは見にくい上、主体思想を具現した先軍思想と見なければならないだろう。
改正憲法で「共産主義」が削除されたことは注目される。社会主義圏が崩壊され、食糧問題も解決が難しい現実で、共産主義は遠い未来の理想郷だ。労働による分配を実現するという社会主義目標も果たしにくい条件で、近い将来に需要による分配を果たすという共産主義は空虚なのだ。中国は社会主義段階が100年以上必要となる長い過程で見て、社会主義初級段階論を提示して高度成長をしている。北朝鮮も我々の方法社会主義論を提示して当面課題を解決するのがもっと至急だと見たものとみられる。帝国主義との対決が持続する中、社会主義を守ることが急先務だという観点で、共産主義という目標を削除したものとみられる。
国際社会の人権改善要求を反映し、「人権尊重」の文言が追加されたが、思想革命強化と革命化、労働階級化など集団主義強化に関する条項を新設して社会統制を強化しようとする意志を憲法に明文化した。
期待をかけた経済改革に関する条項の新設は目立たない。結局、金正日時代は軍隊を先に立たせた軍事国家でどうにかこうにかしてもたせようというものと見られる。意味ある政策転換が成り立ってこれを法制化しようとすれば朝米敵対関係が解消されて体制安全に確信を持つときに可能だろう。本格的な政策転換は強盛大国の大門を開けるという目標時点である2012年以後になれば分かるだろう。
(コ・ユファン東国大学教授・北朝鮮学)
98年の憲法改正時は、国防委員会中心の国家機構改編を断行したが、権限と任務に対して具体的に明文化することができなかった。おそらく金日成(キム・イルソン)主席の死後、過渡的危機管理体制で運営し、情勢が好転すれば正常国家体制に還元しようとする意図で臨時的なリストラクチャーをしたのではないかと思われる。その結果、国防委員会は「国家主権の最高軍事指導機関であり全般的国防管理機関」として、国防委員会委員長は「一切の武力を指揮統率し、国防事業全般を指導する」とし「国防」に限定する管理と指導を明文化した。しかし実質的では国防委員会委員長が国政全般を運営する「国家の最高職責」だった。
ところで今回の改正憲法では国防委員会委員長の任務と権限を大幅に強化してこれまで実質的に行使してきた権限を憲法的に制度化した。国防委員会委員長は北朝鮮の最高指導者で国家の事業全般を指導するだけでなく、条約批准廃棄、非常事態宣布などに関する任務と権限が付与された。西側式大統領制と類似の権限が与えられたように見える。
北朝鮮は金日成主席死後、金正日(キム・ジョンイル)時代基本統治方式として先軍政治を標榜した。98年、憲法改正当時には国防委員会中心の国家機構体系を用意したが、先軍体制をともなう指導思想を具体的に反映することができなかった。今回の改正憲法で、主体(チュチェ)思想とともに先軍思想を「自己活動の指導的指針とする」と述べ、軍人を主権階級の一つとして追加した。72年の憲法には「兵士」が主権者として入っていたが、98年の憲法で抜けてから今回「軍人」と用語を変えてまた追加された。先軍思想を指導思想と、軍人を主権者として追加することで、軍事国家を憲法的に完成させようとしたものとみられる。先軍思想は主体思想と同格とは見にくい上、主体思想を具現した先軍思想と見なければならないだろう。
改正憲法で「共産主義」が削除されたことは注目される。社会主義圏が崩壊され、食糧問題も解決が難しい現実で、共産主義は遠い未来の理想郷だ。労働による分配を実現するという社会主義目標も果たしにくい条件で、近い将来に需要による分配を果たすという共産主義は空虚なのだ。中国は社会主義段階が100年以上必要となる長い過程で見て、社会主義初級段階論を提示して高度成長をしている。北朝鮮も我々の方法社会主義論を提示して当面課題を解決するのがもっと至急だと見たものとみられる。帝国主義との対決が持続する中、社会主義を守ることが急先務だという観点で、共産主義という目標を削除したものとみられる。
国際社会の人権改善要求を反映し、「人権尊重」の文言が追加されたが、思想革命強化と革命化、労働階級化など集団主義強化に関する条項を新設して社会統制を強化しようとする意志を憲法に明文化した。
期待をかけた経済改革に関する条項の新設は目立たない。結局、金正日時代は軍隊を先に立たせた軍事国家でどうにかこうにかしてもたせようというものと見られる。意味ある政策転換が成り立ってこれを法制化しようとすれば朝米敵対関係が解消されて体制安全に確信を持つときに可能だろう。本格的な政策転換は強盛大国の大門を開けるという目標時点である2012年以後になれば分かるだろう。
(コ・ユファン東国大学教授・北朝鮮学)
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