李明博(イ・ミョンバク)大統領が北朝鮮の核問題解決法の一つとして提案した「グランドバーゲン」(包括的交渉)に対し、まだ北朝鮮側はいかなる反応も見せていない。 今回の提案は、過去10年間の「言葉対言葉、行動対行動」の段階的処理方式では北朝鮮の核問題を解決できないという判断の下、問題を総括的に交渉しようというのが骨子だ。 韓米間にやや疎通の問題があるように見えたが、本質的には見解が一致する提案だ。
もちろん北朝鮮がすぐに受け入れるとは考えにくいが、少なくとも韓米の立場では北朝鮮版‘サラミ戦術’の悪循環の輪を断ち切るきっかけをつくるという意味で評価できる。交渉とは常に相手があるだけに自分の主張ばかり貫徹するのは難しく、だからといって相手の主張をそのまま受け入れることもできないものだ。したがって核心問題をどんな形式(format)で、どんな内容を盛り込むかがカギとなる。
グランドバーゲンに関し「形式」問題を見ると2+4で、「先に二者、後に多者交渉」方式が適当と考えられる。 北朝鮮と米国が先に合意した後、残り6カ国協議の当事国である韓日中ロ4カ国が担保(保証)する形式だ。 北朝鮮が要求する体制安全保障を提供する国は米国であるため、朝米が先に2者会談の当事国になるのは避けられない現実だ。 このため北朝鮮の核問題で合意すれば、韓日中ロ4カ国が参加する6カ国間の国際法上保障条約(Treaty of Guarantee)を締結して終える方法が望ましい。
どんな「内容」を盛り込むかと関連し、対北朝鮮体制保障(相互不可侵前提)で最も核心的な問題は米国の対北朝鮮核戦略だろう。 大きく見ると3つの懸案が検討対象となる。
まず、積極的安全保障(PSA)についてだ。 これは非核国が核保有国から攻撃または攻撃の脅威を受ける場合、保障国が介入して保護するというもので、1968年の国連安保理決議(255号)に基づき米国が個別に北朝鮮にPSAを提供するのに大きな問題はないだろう。
2つ目は消極的安全保障(NSA)だ。 これは非核国に対して核兵器の不使用を保障するもので、NSAの提供は核兵器の非保有、核の非配備、核同盟への不参加、核攻撃行為への不参加などが前提にならなければならない。 米国は1978年、国連軍縮特別総会(UNSSOD I)で他の安保理常任理事国とともに個別の宣言形式でNSAを採択している。 ただPSAと同じくNSAも法的拘束力がない一種の政治的公約であるため、多くの非核第3世界国はこれを国際協約として文書化することを要求しているのは事実だ。
したがって米国が対北朝鮮「グランドバーゲン」で北朝鮮が要求する核安全保障を法的効力がある文書で受け入れれば、北朝鮮の体制安全保障はそれだけ確実になるといえる。
「核先制使用の放棄」(NFU=No First Use)も最も敏感な問題の一つだ。 これは米国の韓国に対する「核の傘」提供と直結するもので、難航が予想される。 NFUは過去の冷戦時代、中国とソ連が採択したものだが、米国は欧州と極東での在来兵器の劣勢による安全弁として有事の際の核先制使用戦略を堅持してきた。 したがって米国の核先制使用は同盟国に対する「核の傘」提供の核心内容と考えられてきたといえる。
しかし脱冷戦後、世界唯一の超強国である米国が対北朝鮮NFUを約束したからといって、韓半島の安保情勢が突然脆弱になることはないだろう。 核先制使用戦略は冷戦時代、米国の在来兵器の劣勢を補完する軍事戦略だったからだ。
キム・ギョンス明知(ミョンジ)大教授・国際政治学
もちろん北朝鮮がすぐに受け入れるとは考えにくいが、少なくとも韓米の立場では北朝鮮版‘サラミ戦術’の悪循環の輪を断ち切るきっかけをつくるという意味で評価できる。交渉とは常に相手があるだけに自分の主張ばかり貫徹するのは難しく、だからといって相手の主張をそのまま受け入れることもできないものだ。したがって核心問題をどんな形式(format)で、どんな内容を盛り込むかがカギとなる。
グランドバーゲンに関し「形式」問題を見ると2+4で、「先に二者、後に多者交渉」方式が適当と考えられる。 北朝鮮と米国が先に合意した後、残り6カ国協議の当事国である韓日中ロ4カ国が担保(保証)する形式だ。 北朝鮮が要求する体制安全保障を提供する国は米国であるため、朝米が先に2者会談の当事国になるのは避けられない現実だ。 このため北朝鮮の核問題で合意すれば、韓日中ロ4カ国が参加する6カ国間の国際法上保障条約(Treaty of Guarantee)を締結して終える方法が望ましい。
どんな「内容」を盛り込むかと関連し、対北朝鮮体制保障(相互不可侵前提)で最も核心的な問題は米国の対北朝鮮核戦略だろう。 大きく見ると3つの懸案が検討対象となる。
まず、積極的安全保障(PSA)についてだ。 これは非核国が核保有国から攻撃または攻撃の脅威を受ける場合、保障国が介入して保護するというもので、1968年の国連安保理決議(255号)に基づき米国が個別に北朝鮮にPSAを提供するのに大きな問題はないだろう。
2つ目は消極的安全保障(NSA)だ。 これは非核国に対して核兵器の不使用を保障するもので、NSAの提供は核兵器の非保有、核の非配備、核同盟への不参加、核攻撃行為への不参加などが前提にならなければならない。 米国は1978年、国連軍縮特別総会(UNSSOD I)で他の安保理常任理事国とともに個別の宣言形式でNSAを採択している。 ただPSAと同じくNSAも法的拘束力がない一種の政治的公約であるため、多くの非核第3世界国はこれを国際協約として文書化することを要求しているのは事実だ。
したがって米国が対北朝鮮「グランドバーゲン」で北朝鮮が要求する核安全保障を法的効力がある文書で受け入れれば、北朝鮮の体制安全保障はそれだけ確実になるといえる。
「核先制使用の放棄」(NFU=No First Use)も最も敏感な問題の一つだ。 これは米国の韓国に対する「核の傘」提供と直結するもので、難航が予想される。 NFUは過去の冷戦時代、中国とソ連が採択したものだが、米国は欧州と極東での在来兵器の劣勢による安全弁として有事の際の核先制使用戦略を堅持してきた。 したがって米国の核先制使用は同盟国に対する「核の傘」提供の核心内容と考えられてきたといえる。
しかし脱冷戦後、世界唯一の超強国である米国が対北朝鮮NFUを約束したからといって、韓半島の安保情勢が突然脆弱になることはないだろう。 核先制使用戦略は冷戦時代、米国の在来兵器の劣勢を補完する軍事戦略だったからだ。
キム・ギョンス明知(ミョンジ)大教授・国際政治学
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