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和而不同という言葉がある。仲良く過ごすがむやみにつるまないという意味だ。米中両大国の間に挟まれた韓国が刻むべき言葉だ。「親中は反米の別の姿」「中国は米国の対案」という二分法的思考から脱却すべきだ。米中両国と共生する道とはなにか。
シーン1.「ソウルは変わっていない」。今年夏にソウルで開かれた韓中学術セミナーで会ったある中国人教授の言葉だ。すでに何度も韓国を訪問しているが、中国に対する韓国の評価は17年前の国交正常化当時と変わっていないということだ。中国を下に見ているという批判だ。
シーン2.「中国とは二国間問題だけ話し合える」。最近私的な席で会ったある韓国外交官の訴えだ。悩みの背景はこうだ。「中国はすでに世界の大国だ。われわれとは戦略的パートナー関係だ。しかし韓国が中国とともに議論する世界的イシューがあるのか、またわれわれがそうした論議をしていく準備ができているのか心配が先に出る。それでも両国を戦略的パートナー関係と見ることができるのか」。
韓国の虚偽的構造を如実に示した相反するシーンだ。中国を格下と見るが、いざ外交の一線に立つ官僚は「実力の非対称」の中でつらさを感じているためだ。
韓国が中国をどのように評価するにしても、中国はすでに韓国とは「格」が違う対応を受けている。まず韓半島に対する影響力が大きい。米国の相対的衰退の中、その浮上はより際立って見える。北朝鮮の核問題はこの7年間中国が主導する6カ国協議に依存してきた。韓中貿易額は韓米と韓日の貿易額を会わせた額と同水準だ。中国は各分野で韓半島に影響力を伸ばしている。
抑えられれば跳ね上がるものだろうか。「韓米同盟を強化しよう」という言葉が出てくる。韓米同盟と韓日協力強化を通じて中国に対する韓国の戦略的価値を高めようという主張だ。
しかしここには前提が必要だ。米中関係が現在のように「競争の中の協力」を志向する安定的な関係を維持しなければならないという点だ。米中両国が密着すれば韓国の戦略的価値はそれだけ落ち込み、反対に米中競争が最悪の状況に陥れば米中両国とも韓国に二者択一を要求できるためだ。
韓国の悩みは、韓国が米中関係を思うままに調節できないという点だ。韓国ができるのは韓中・韓米関係の両方を「構造的に安定的な段階」まで引き上げることだ。その具体的な方法は「価値の引き上げ」だ。韓国の独自の位置づけと戦略的価値を拡大させていく作業が必要だ。まず東アジアを中心にした「ミニ多国間ネットワーク」の構築に積極参加し、可能ならば主導すべきだ。韓中日、韓米中、南北など多様な形の2国間・3カ国また4カ国協議体を引き出し、東アジア共同体造成の仲裁者、媒介者としての位置づけを確保すべきだ。
また親中と親米の二分法的姿勢を捨てなくてはならない。親中は反米の別の姿という硬直した態度と、中国は米国の対案という単純な思考から抜け出さなくてはならない。
中途半端な二分法も、生半可な偏り現象も危険なのは同じだ。特に対中関係では慎重にならなくてはならない。地理的な近さ、人種的類似性、歴史的共有性など、多様な理由のため韓中両国はともに「お隣さん症候群」という大衆的錯視現象が広く定着しているためだ。その結果、相手を知ろうとする努力が不足し、結局相手に対する誤解と歪曲が簡単に発生する構造だ。従って中国との信頼関係を構造的に固めるためには中国に対する正確な情報を基に理解の幅を広げていこうという国家的・国民的努力を粘り強く続けていかなくてはなならない。
李東律(イ・ドンリュル)同徳女子大学教授
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