昨年イラクを訪問したブッシュ前米大統領に靴を投げつけ収監されたイラク人記者のムンタゼル・ザイディ氏が１５日、９カ月ぶりに釈放された。

ザイディ氏が収監されていたバグダッド刑務所前には数日前から数百人が歓迎のために待っていた。英ＢＢＣは釈放直後にザイディ氏が「収監中に拷問を受けた」と主張したと伝えた。ザイディ氏の兄はこの日、ニューヨークタイムズとのインタビューで、「弟はすぐにバグダッドで記者会見を開き、収監生活と今後の計画について話すだろう。安全のためイラクを離れる計画だ」と明らかにした。

これに先立ち英テレグラフ紙は１４日、ザイディ氏の釈放数日前からアラブ圏全体が祝賀ムードに包まれたと報じた。“英雄”扱いを受けているザイディ氏には声援や贈り物が殺到した。リビアの最高指導者カダフィ大佐は、ザイディ氏に最高名誉賞を贈ると明らかにし、アラブ圏の主要メディアはアンカーの席を先を争って提案している。政党からは政界進出を進められた。ザイディ氏が所属するアルバグダディアテレビの社長は「放送局を世界的に有名にしてくれたザイディ氏に高級自動車とペントハウスアパートを贈る」と明らかにした。


ザイディ氏は昨年１２月１４日にバグダッドで退任を控え記者会見を行ったブッシュ前大統領に履いていた靴を投げつけその場で逮捕された。当時ザイディ氏は靴を投げながら、「これはイラク人からの別れのあいさつだ。夫を失った女性と親を失った子どものためだ。犬め」と叫んだ。ザイディ氏は外国首脳攻撃罪で懲役３年を言い渡されたが、前科がなく模範囚として認められ、９カ月での釈放となった。



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