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【コラム】民族共同体の統一に向けた「機会の窓」

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
核実験やミサイル発射からはじまった北朝鮮による「脅迫の外交攻勢」が連日、その度を強め、韓半島問題を国際政治の最優先課題に浮上させた。

こうした強硬策を取りつづける北朝鮮内部の事情は分からないものの、世界の平和と安全を威嚇する火薬庫とされる韓半島問題の当事者、韓国としてはひたすら消極的な姿勢で座視ばかりしているわけにはいかない。

「北朝鮮の核問題」とのみ認識されやすい韓半島問題は、分断と対決の当事者である南北(韓国・北朝鮮)やこれをめぐる超大国の力学関係が絡み合う歴史的宿題であり、韓民族の運命を左右するものであることから、韓国がこれを解決する過程で傍聴人として後ろに座り、無策のまま傍観することはできないのだ。


9月11日は「民族共同体統一の案」が韓国の統一の案に確定されてから20周年になる日だった。20年前のその日を回顧してみると、冷戦の終息や民主化の興奮と熱気は高まる中、与野党はもちろん国民の合意に向けた討論と協議を経て、統一策が作られた。韓国の政治力が非常に誇らしかった時代だった。しかしここ20年にわたる韓国の統一への努力を振り返ってみると、南北関係は紆余曲折と急変する情勢の中で、目に見える成果がなかったという点を自ら認めるほかないのが辛い今日の現実である。

もっとも突然起きた今回の臨津江(イムジンガン)放流惨事は失望を超え、憤怒と挫折まで感じさせる。しかしこのように厳しい今日の韓半島の状況が、もしかすると20年前と似たような国際政治の転換期がもたらす、問題解決に向けた「機会の窓」を内包しているかもしれない。その「機会の窓」を積極的に活用する意志と知恵が、今日の韓国に課された時代的使命と言えよう。

20年前、ベルリンの壁の崩壊が象徴した東西冷戦の終末という大転換期を、今日の国際社会の情勢と比較するのは無理かもしれない。しかし▽オバマ米大統領の当選▽全世界を巻きこんだ国際金融危機--などは「米国が唯一超大国の時代」が幕を下ろし、新たな多極体制が胎動していることを示す。そうした変化の中で米中ロ3国は、絶えず「核保有国入り」を試みる北朝鮮を容認できないとのことで一致し、同時に、イランの核開発計画を阻止するため米中ロ独仏英の6カ国が共同で制裁の度を強めている点にも注目する必要がある。

韓半島の非核化は必ず維持されるべきだという原則は、最近、米中両国の戦略的対話でも再確認されたことがある。こうした国際社会の力の流れに、真っ向から逆行するほど北朝鮮は無謀ではないと信じたい。それなら、いかにして北朝鮮を核廃絶の道に導くべきだろうか。いつまでも国際社会の対北圧力にばかり頼るわけにはいかない。北朝鮮が目指す核保有国を容認できないと米国をはじめとする関係諸国が強硬姿勢を取っているものの、北朝鮮の意志を破るほど断固とした行動には慎重を期し、説得と対話の道を残している。

一方、信頼と不信がともに作動する国際関係では「戦略的パートナー」の間でもすき間が生じることができ、北朝鮮はこれを活用して核保有や関係改善、つまり二つの狙いを同時に達成することに努めるだろう。だから現在の状況では韓国の積極的かつ創造的な政策の発想や外交の動力が必要とされるのだ。一方では国民の合意を得て、もう一方では米国など関係諸国との確固たる連携を固めつつ、北朝鮮を問題解決に誘導するためには、民族共同体統一の案が明示した基本原則、すなわち「一つの民族共同体」の建設に向け、2つの政治体制の共存を相互的に受け入れ、交流、協力するという原則に、新たな活力を吹き込まなければならない。

同原則を具現するためには、北朝鮮が在韓米軍の撤退を狙いこれまで掲げてきた統一戦略を果敢にやめる決断が先行されるべきであり、それはそのまま北朝鮮体制の安全につながるという点を、すべての6カ国協議関係国に理解させなければいけない。統一を目指す南北の関係改善に向けた政策や戦略の開発と執行は、2つの軌道に分けて進めることができる。

▽南北が20年前に稼働させた枠組み合意の体制を改めて発展させる軌道▽北朝鮮の急変事態や突然やってくるかもしれない統一の機会に備えた対策を徹底的に作る軌道--に分離し進めるのだ。前者は公開的な討論と実験を通じて進めるのが、後者は静かにかつ徐々に進展させていくのが、それぞれ効率的といえよう。

ただいずれにせよ韓国民が負担しなければいけない共同体建設と統一の見返りや犠牲がどれくらいになるのか、そして、これに対し、韓国民の覚悟ができているのかについては、民族共同体統一案の発足から20周年を迎える現時点からでも、より真剣に考えてみなければいけない。



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