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大前研一氏「米国の金融危機後遺症、5-10年後に出てくる」(2)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版
--今後、世界経済はどんな方向に変貌するのか。

「永遠だと考えられた米国の独走体制は消えた。その代わり中国と欧州連合(EU)が新しい主役に浮上する時代になった。中国は今年に入ってわずか半年で内需主導経済に変身した。内需を浮揚するために銀行の窓口をすべて開いた。自動車販売が米国を追い抜いた。今までは生産工場だったが、今年から最大消費市場に浮上している。自動車需要も世界1位になり、高速道路は毎年1万3000キロずつ増えている。これには毎年6億トンの鉄鋼が必要だ。今後は中国の内需成長をどれほど活用できるかが企業の成敗を左右する。韓国・日本の企業はそれほど準備が進んでいない。三星(サムスン)も中国では弱い。営業・販売・サービス体制が完全に変わらなければならない」

--EUが新しい主役になるというのはどういうことか。


「今年10月20日にアイルランドでリスボン条約が承認される見込みだ。その間、アイルランドのみ国民投票で否決されていたが、今回承認される可能性が高まった。EU全体でリスボン条約が締結されれば、EUに大統領・外相が登場し、EUという国家が誕生することになる。憲法と軍隊(NATO)も持っている。今でも大きいが、米国を正式に抜く世界1位の大国になる。ユーロも強くなるだろう」

--世界の経済パワーでも地殻変動は避けられないということか。

「日本も韓国も今までドイツやフランスなど各国に個別に対応してきた。EU全体に対する企業戦略を持っている会社はほとんどない。EUの第1代大統領はトニー・ブレア、第2代はアンゲラ・メルケルになる可能性がある。来年は中国が日本を抜く。1位USE(United States of EU)、2位米国、3位中国に続き、日本は2位から一気に4位に落ちる。5位は将来インドが占めるだろう。5つの大きな柱を意識しながら世界戦略を立てている企業はほとんどない。北米では韓国企業が強い。しかし欧州・中国・日本では容易でない。韓国企業は苦労してグローバル化したが、今後は大きく落ちるおそれがある」

--金融危機後の出口戦略が議論されている。

「各国で異なる。日本は金利を上げたほうがよく、韓国は当分据え置くのがよい。米国も金利を上げれば苦しむ人が多いため据え置くべきだ。株式市場にはバブルがある。企業の収益見通しから上昇する理由はない。証券会社はそれで商売をするので楽観的な展望を出そうとする。バブル崩壊直前の89年、日本証券会社は日経指数が6万まで上がると主張していた」

◇大前研一氏=1943年に福岡で生まれ、早稲田大工学部を卒業し、米MITで博士学位(原子力工学)を取得した。日立で原子炉設計担当エンジニアも務めた。経営コンサルティング会社マッケンジーの日本支社長、アジア・太平洋会長を経て「ミスターストラテジー」というニックネームを受けた。最近は「ケインズ経済学」時代は去り、「心理経済学」の時代が来たと主張している。金融危機を防ぐためには▽米国など特定国家に偏らない客観的かつ中立的な世界的格付け機関を設立する▽国際通貨基金(IMF)と世界銀行を統合して新しい国際機構を設立する▽国際金融界が受け入れられる世界共通の規則を設ける--というのが大前氏の持論だ。



大前研一氏「米国の金融危機後遺症、5-10年後に出てくる」(1)


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