|
そうした極端な苦痛の中でも常に集中して演じなければいけないというのも厳しかった。
「痩せてから低血糖など異常が生じ、ぼうっとしていたり、知っている人の顔を見ても気が付かなかったりした。どう演技したかも思い出せない部分もある。俳優にとっては身振り・手振りが表現の手段なのに、そのすべてを遮断されたから…」。
当初、制作サイドは人体の模型を作り、コンピュータグラフィック(CG)を使う方針だった。ところが、キム・ミョンミンが20日間で10キロの減量に成功したのを受け、CGなしに実際の姿を撮ることを決めた。
「CGに頼れば、それは本物の演技ではなくなる。痛いのではなく、痛いふりをするのに、どうやって観客がその人物の本当の痛みを感じることができるか」。
彼は週2回のオフデーにもホテルに閉じこもっていた。家族との連絡も絶った。
「カーテンをおろして光を防いでいたら、掃除担当の女性がパラノイアの患者だと思ったらしい。最初はわざとそうしたが、後ほどは自然に光が嫌になった」。
ホテルは地獄だったが、撮影地は天国だったというから、これもまたアイロニーだ。彼は「何かを取り入れる苦痛が50ならば、それを取り出す苦痛は200」と話した。ジョンウと別れる今も、心の中は地獄であるはず。
「俳優は魅力的だが、本当に苦しい職業だと思う。医師に警告されてから始めたものの、思うように健康回復が容易ではない。だけど自分が選んだ仕事だから仕方がない。実際のルー・ゲーリク患者のように見えなければいけない、という自分自身との戦いに最善を尽くした」。
「私の愛、私のそばに」は「君は私の運命」「あいつの声」に続く、パク・ジンピョ監督のヒューマンドラマ。死んでいくジョンウと、そうした彼を病床で見守る妻(ハ・ジウォン)の切ない闘病日記だ。ドラマに比べて映画では打率が低かったキム・ミョンミンの挑戦がどんな結果を得るかも関心事だ。
ルー・ゲーリック病の役作りで20キロも減量したキム・ミョンミン(1)
【今日のイチオシ記事】
・ 「韓国が嫌いならば去れ」未熟な愛国主義
・ 国家競争力順位はなぜ1日で上下する?
・ 統一部「北、善良な隣人ではない」
・ 韓国CO2排出量世界9位
・ ルー・ゲーリック病の役作りで20キロも減量したキム・ミョンミン
・ 外国人保有の土地、ソウル市の面積の36%に相当
この記事を読んで…