もしあなたが外国に出張に行ったり滞在中にこんな目に遭ったらどうするだろうか。夕方遅くにバスに乗ったら後の席の酒に酔った現地人があなたに向かって「汚い」「くさい」と悪口を言う。あなたは東洋人だが、その国の人は肌の色があなたと違い黒かったり白かったりだ。後の席の加害者に抗議をするにしても我慢するにしても、あなたはその国の国民のスタイルと国際化水準に大きく失望するだろう。侮辱感と鬱憤をなぐさめながら「この国はまだまだだ」と嘆くだろう。
国内の大学で研究教授として滞在中の若いインド人学者が同じ目に遭った。インド人は勇気をだして自分を侮辱した韓国人を告訴した。仁川(インチョン)地検富川(プチョン)支庁はこのほど、この韓国人を刑法上の侮辱罪で略式起訴した。明白に人種差別的行為だったが、韓国には人種差別を禁止する法律がないためだ。それでも人種差別を問題にして起訴した初めてのケースということで意味は小さくない。
国内に居住する外国人は110万人を超えた。結婚で移住してきた女性は昨年までで12万8000人だ。40年後には韓国の人口の10人に1人は外国人になるという報告書も出された。しかし多くの国民はまだ排他的で差別的な外国人観から抜け出せずにいる。バスで侮辱されたインド人教授のバナジット・フセイン氏は、「同じようなことを何度も経験し、海外から来た労働者らは私よりはるかにひどい目に遭っている」と話した。これ以上国民個人個人の自覚と善意にだけ頼る状況ではないのだ。
人種差別問題は個人的な侮辱レベルにとどまらない。就職・教育・商取引など社会活動全般にわたる差別はどれだけ激しいだろうか。人種差別を禁止する法的・制度的装置を設けるのを急がねばならない理由だ。法務部が一昨年に人種・病歴など20種類の項目で差別を禁止する「差別禁止法」を国会に提出したが、議論の末に第17代国会の任期満了で自動廃案となってしまった。国会が率先して法的措置を求めていかねばならない。差別禁止対象範囲についての議論で社会的合意が遅くなる場合には障害者差別禁止法のように人種差別を別にして法案をまとめるのも方法だ。
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