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本を読むスター<6>キム・ユンジン「月の海」



月にも果たして海が存在するのでしょうか。

このところ、人に会う度に強くお勧めする本がチョン・ハナさんの小説「月の海」です。07年に「文学街作家賞」を受賞した作品ですが、筆者が大学を卒業したばかりの82年生まれの女性であることにビックリしました。


この宝物に出あったのは仁川(インチョン)国際空港の書店でした。昨年、米ABCテレビのドラマ「ロスト」の撮影のため、ソウルと米ハワイを行き来していた時期だったのですが、何の情報もない状況で、タイトルと表紙のデザインだけ見てひかれた本です。可愛い表紙にひかれて本を買い困惑した経験が数回ありましたが、「月の海」は例外でした。

作家の豊かな想像力と文章力に文末の響きまで、読んでいる間どれだけ幸せだったか…。ハワイに到着した翌日、もう一度取り出してみたぐらいでした。書き出しはこんな感じです。

「私」はマスコミの試験に常に落ちている20代の就業浪人。ある日、祖母から15年間も家族との連絡を絶ち、米国に住んでいるおばのことを耳にします。祖母と密かに手紙を交わしているおばは米航空宇宙局(NASA)に所属する宇宙飛行士であり、「私」は親友と共におばに会うためフロリダへ向かいます。

現実に疲れ、寂しさに呻吟する、現代を生きる多くの人々を慰めてくれる、肯定の力を与える本です。現実と理想の乖離、メビウスの帯のようにつながっている真実と偽りが登場し、時には善意の嘘が他人に希望を与えられるという、伏線がとても魅力的です。詳しすぎる説明は読書の楽しさを半減させるのでこの辺で…。

次のような文章が出てきます。

「近くで見ると、長い間夢見てきた場所も美しくはなく、むしろ嫌になることもある」--。

地球から見る月もそうではないでしょうか。ロマンチックにも大きくくぼんだ部分に、あたかも巨大な海があるかのように思われるのですが、いざそこでは生命体が生きられません。最近ベテラン女優のナ・ムンヒさんと「ハーモニー」という新しい映画の撮影に加わりました。私はこの本をカン・デギュ監督にプレゼントするつもりです。

「ハーモニー」は女性刑務所内にある合唱団の物語ですが、絶望のどん底から希望を汲みだすという点から「月の海」とも一脈相通ずるところがあると思います。「ロスト」を撮影していたころ、俳優らで回し読みした本のうち最も印象深かったのは「Outliers」でした。直訳すれば「優れた天才」くらいになるかと思います。

「Tipping」「Blink」などかなり好評を受けた本を著したグラッドウェル(Gladwell)の新作です。非凡な頭脳と人を刺激する方法などを簡単にまとめた本ですが、ビートルズやビル・ゲイツなどといった天才を分析した内容がとても興味深く書かれています。おそらく子どもの教育に関心が高い親たちが熱狂するのではないかと思われます。



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