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公認も選挙戦略も小沢氏の頭から出てきた

小沢一郎民主党代表代行(67)は第45回衆院選を「勝利」に導いた事実上の主役だ。

小沢代表は今年5月、西松建設の違法献金事件で公設秘書が起訴され、代表を辞任したが、公認から選挙戦略に至るまで同氏の手を経てないものがない。依然、党内最大の派閥をリードするナンバーワンだ。

選挙が終わった現在、次期首相となることが確実となった鳩山由紀夫代表より小沢氏に関心が集められるのもこうした理由からだ。同氏が「政治工学」の達人に生まれ変わったところにはもう一人の「父」がいる。70年代に自民党を牛耳った金権政治の代名詞、田中角栄元首相だ。田中氏は「一郎氏には特別な面がある」とし常にそばに置いて、自身が体得した現実政治のノウハウを伝授した。


強力なリーダーシップと政局を読み取る感覚は田中氏から習ったものだ。田中氏の寵愛(ちょうあい)を受けた小沢氏は政治的成長を繰り返し、49歳という若さで最年少の自民党幹事長に就き、「自民党の皇太子」とまで言われた。同氏の国家観は、日本が、敗戦国というくびきを逃れ「普通国家」に生まれ変わるべきだということだ。

日本も軍隊を保有し、国連が主導する平和維持活動に加わるべきだという「普通国家論」は平和憲法の見直しをめぐる議論を触発し、日本右派の「軍事強大国論」をあおったと批判されたこともある。それでも同氏は自民党とは異なり、日米同盟の重要性を強調しながらもアジア外交を重視する。周辺諸国と対立する要素の靖国神社問題に対しても太平洋戦争のA級戦犯を分祀すべきだという考え方だ。

自民党体制で深く根をおろした官僚主義社会の打破も最優先の課題としている。05年の参院選を民主党の勝利に導き、同氏は自他共に認める「次期首相に最有力視される人物」となった。違法献金事件の責任を取り、今年5月、自身を最後まで支持してくれた鳩山由紀夫氏に代表を譲ったものの、依然「大王」の立場から衆院選の陣頭指揮をした。

小沢氏はかつて田中氏がそうだったように、自身が発掘した「小沢チルドレン」の大量当選を目指し、選挙資金の調達から企業・団体との連帯に至るまで物心両面で支えてきた。今回の衆院選で同氏が率いるグループは100人を大きく上回った。すでに「鳩山氏の内閣は小沢氏の人で埋められる」「小沢氏が実質的に党を率いる」という見方が広がっている。首相・鳩山-実勢・小沢による二重の権力体制は今後の政局で重要な要素に働くとみられる。



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