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望遠鏡をのぞき見ていたイタリアの天文学者ジョバンニ・スキアパレリが火星の表面に刻まれた長い線を見つけた。たぶん彼の見たものは長さ6000キロのマリネリス峡谷だったのだろう。この知らせは全世界に火星熱風をもたらした。「火星に人工運河がある」という報道が広がり、運河を作った火星人が生きているのだという推測が広がった。火星人が地球を攻撃する内容の小説が出たのもこのころだ。しかしこれは筋を意味するイタリア語カナリ(canali)が英語の運河(canal)と誤って伝わってもたらされたハプニングだった。1日が大きく進化する宇宙科学の発展の速度を勘案すれば虎がタバコを吸っていた時代の1877年の話だ。しかし運河はまだしも火星に水が存在したという仮説は120年後、火星探査船が送ってきた写真で既定事実化された。水があったという話は生命体の存在可能性と直結される。
宇宙科学ではこんなむちゃくちゃな誤解や想像が一歩遅れて現実として実現する場合がたびたびある。月の国に旅に出る内容の空想科学小説「地球から月まで」(月世界旅行、ジュール・ヴェルヌ)が発表された後、1世紀経て初めて人間の足は月の表面を踏むことができた。目の前にありながらもまったく近づけない未知の世界に対するあこがれこそ人間の想像力と知的探求の源泉だった。
もちろん人間の知る欲求を満たすために宇宙開発に莫大なお金と汗を注いだのではなかった。冷戦時期、米・ソが死活をかけて宇宙開発競争を繰り広げたのは軍事技術と金の両面関係にあるからだ。その過程で蓄積した技術は実用的民需技術に波及された。一時「宇宙中継」と呼ばれた衛星放送や台風の進路を予測する気象観測も宇宙開発の賜物だ。お湯さえ注げば直ちに一食分の食事ができるフリーズドライ食品、疾病診断に使われる断層撮影(CT)や内視鏡技術も元をたどれば宇宙技術に行きつく。だから費用がかかるといって宇宙開発をあきらめるものではない。
威風堂々と大気圏をくぐりぬけて行った羅老(ナロ)号が搭載した衛星を正常軌道に乗せることは失敗してしまった。気落ちしてばかりいることではないと思う。よく言う言葉かもしれないが、失敗は成功の母だと言うではないか。韓国の宇宙開発は1992年、初の国籍衛星であるウリ星1号の打ち上げが始まりだ。18年という短い時間にここまでできるようになっただけでも十分に拍手を浴びるに値することだ。
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