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【その時の今日】板門店で起きた「斧殺害」



 写真の右側のヤナギの木の発端だった。 真夏であるため、板門店(パンムンジョム)共同警備区域に立つ木の葉が視野を遮った。 1976年8月18日、第5観測所を担当していた米軍が枝を切りに行った。 「そこまで切ればいい」「もっと切れ」。 木の下で北朝鮮軍と米軍の語調がお互い強まった。 枝を切っていた韓国人労働者はどうすればよいのか分からなかった。 その時、北朝鮮軍のパク・チョル中尉は時計を外してポケットに入れた後、「殺せ」と叫んで乱闘劇が繰り広げられた。 北側は伐木用の斧を拾ってボナファス大尉とベリト中尉を虐殺した。 この蛮行をとらえた写真は衝撃的だった。 こうした状況で米軍がカメラを準備して映像も撮ったというのも驚く。

写真の反響は大きかった。 韓米両国に火がついた。 朴正煕(パク・ジョンヒ)大統領は陸軍3士官学校卒業式の演説(ソ・ジョンチョル国防長官が代読)で「狂った犬にはこん棒が薬」と述べた。 フォード政権と在韓米軍はヤナギの木の周辺を焦土化する計画を立てた。 しかしひとまず落ち着いて問題の木を除去する方向へ動いた。 作戦名は「ポール・バニヤン」(Paul Bunyan)。 ポール・バニヤンは斧1本で81本の木を一気に切り倒し、ロッキー山脈を平地にした米国の伝説的英雄だ。


米軍が8月21日午前7時、木を切り始めた時、「デフコン2」(攻撃準備態勢)までが発動された。 米国から核搭載が可能なF-111戦闘機20機が、グアムからはB-52爆撃機3機が出動した。 空母「ミッドウェイ」が重武装した5隻の護衛艦とともに東海(トンへ、日本名・日本海)の北朝鮮海域に移動した。 テコンドー有段者の韓国特戦司令部要員64人が「帰らざる橋」(沙川橋)近くに配置された。 北朝鮮は労働赤衛隊と赤い青年近衛隊に戦闘態勢を命令し、「北風1号」(準戦時体制)を宣布した。

米軍が木を切り倒した。 その時、非武装で作戦を遂行した韓国特戦要員が突然、体に隠していた武器を取り出して組み立てた。 特戦要員らは北朝鮮の哨所4カ所を破壊し、挑発を誘導した(上部の命令に従ったものという)。 しかし北朝鮮軍は動かなかった。 仮に北朝鮮が抵抗して戦争になっていればどうなっていただろうか。 米国は最悪の場合、戦術核を使用する考えもあったと伝えられている。 ヤナギの木が韓半島に核戦争を招くところだったのだ。 金大中(キム・デジュン)元大統領が逝去した日は33年前のこの日。 南北間の対立状況はまだ終わっていない。



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