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【コラム】日本首相の「核武装論」聞き流してはならない

今年6月の韓日首脳会談で麻生太郎首相が「北朝鮮の核問題が深刻化すれば、日本内で核武装を求める声が高まるだろう」と述べたものとされる。

首脳会談で日本の首相が直接こうしたコメントをしたのも特異だが、実は「北朝鮮の核に備えた日本の核保有」という主張は目新しいものではない。日本は1967年から核兵器を製造、保有、持ち込まないという「非核の3原則」を堅持しながらも、内部的には「核武装可能性」への研究を周期的に行ってきた。

「非核3原則」を宣布した当時の佐藤首相も、核武装を秘密裏に検討するよう指示したことがある。中曽根元首相が防衛庁長官だった70年に発表された防衛白書は「小規模な戦術上の防御向け核兵器を所有するのは法的に可能かもしれない」とまで明記したことがある。一言で憲法上、攻撃向けの核を持つのは難しいが、自衛に向けた小規模な核の保有は可能だというのが日本の政官界の底辺に敷かれた認識だ。


2発の核兵器で敗戦国になった日本国民の核への抵抗感、すなわち「核アレルギー」が非常に強いため、核武装と軍事大国化を支持する意見は、戦後の日本社会で容易に表出されにくいものだった。ところが平凡な日本国民のこうした認識を変えたのが、ほかではなく北朝鮮による核とミサイルの開発だ。

93年5月、北朝鮮が日本を攻撃できる中距離ミサイルを開発してから、状況は変わりはじめた。日本が北朝鮮の核・ミサイル攻撃から安全でないという「北朝鮮による脅威論」が日本国民にアピールしはじめたのだ。98年の長距離弾道ミサイル「テポドン」の実験は「北朝鮮の脅威論」が日本社会に根を下ろすきっかけとなり、06年の1回目の核実験で「北朝鮮脅威論」は満開した。

今年4月、北朝鮮が3回目の長距離弾道ミサイルを発射した当時、日本全域が非常状態となったが、日本の国民は当然なものと受け入れた。しまいには自衛隊の兵士が金正日(キム・ジョンイル)の写真に向かってお辞儀をしたという話まで出てきたくらいだ。北朝鮮の核・ミサイル開発が、日本の軍事大国化というより大きな災いを招く禍根になっているのだ。

北核問題のカギを握っている中国は、北朝鮮の核より政権崩壊をより懸念する。よって北朝鮮の核をこのまま放置する場合、ほかのレベルから、中国が途方もない損害を受けるかもしれないという事実を、中国指導部が肌で感じられる特別な措置が必要だというのは正しい。特に中国が日本の軍事的な動きに非常に鋭敏に反応するという点から、麻生首相の「核武装」に関連した発言が、中国に一定の影響を及ぼしうるだろう。

しかも麻生首相の発言が韓国大統領との首脳会談で出てきたという点からもさらにそうである。しかしこうした諸発言が蓄積され、日本の核武装が既定事実化する状況、すなわち日本の核という「絶対悪」が「必要悪」に変身する事態だけは防がねばならない。北朝鮮の核保有を予防することに失敗した我々に残った現実的な代案は「北核の管理」だ。

北朝鮮が内部の変化を通じ自ら核を断念するよう道を探すのが賢明である。核兵器を一挙になくすという性急な気持ちから、北核問題に全力を挙げ、途方もない代価を支払うことになるのは国益にプラスにならない。こうした点からは、韓国が政府レベルで「日本の核武装に反対する」とはっきりとしておくことが必要だと思われる。



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