昨日北朝鮮の警備艇に拿捕（だほ）された韓国のイカ釣り漁船「８００ヨンアン号」に乗っている船員の送還問題が、南北（韓国・北朝鮮）関係の新たな要素に浮上した。

開城（ケソン）工業団地で働く韓国人ユ某氏（現代峨山の職員）が約１３０日にわたり北朝鮮に拘束され、南北関係が冷え込む中、こうした事故が発生したからだ。

政府は８００ヨンアン号が全地球測位システム（ＧＰＳ）の故障で帰航中に航路から外れ、北朝鮮側海域に入ったとみている。統一部と軍当局によると、韓国海軍の哨戒艦艇が同午前５時５分ごろ、識別できない漁船１隻を発見した後、漁船通信網を通じて呼び出したが、回答がなかったという。北朝鮮海域に入ったヨンアン号は同午前６時２０分ごろ、束草（ソクチョ）漁業情報通信局との交信で「ＧＰＳの故障で帰港中に北朝鮮の警備艇を発見した」と報告した後、「調査を受けている」とだけ短く知らせてきた。


６時２７分ごろには北朝鮮の警備艇１隻に８００ヨンアン号がえい航されているのを韓国艦艇が確認した。韓国側は午前６時４４分と７時１６分の２回にわたり、艦艇間の通信で韓国漁船を復帰させるよう求めたが、北朝鮮はこれに回答せず北朝鮮・長箭港（チャンジョンハン）にえい航した。

事故の発生を受け、統一部はこの日予定されていた玄仁沢（ヒョン・インテク）長官の公式日程を取り消し、対策作りに着手した。統一部は「この問題は現在停滞中の南北関係とは関係なく、人道レベルで処理されるべき」という立場をまとめた。

調査で故障が確認されれば船員は送還されるというのが大方の見方だ。北朝鮮が米国との対話を進めている状況で民間人の人権問題が浮上する場合、有利な点はないという判断からだ。



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