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【社説】大統領の「赦免」言及は慎重にすべき

李明博(イ・ミョンバク)大統領がきのうのラジオ対談で、8月15日に150万人規模の大規模な特別赦免計画を明らかにした。農民・漁民・自営業者など庶民が対象となる「生計型赦免」で、特に「生計型運転」で免許停止になった人たちも赦免の恩恵を受けられるという。青瓦台(チョンワデ、大統領府)では飲酒運転の初犯者も赦免することを検討するという話も出ている。

歴代大統領は数百万の国民を対象に大規模特赦をしばしば断行してきた。自身の就任記念日や国慶日を迎え多くの庶民層が恩恵を受けられる特赦を施行することで自身に対する支持を強化し、国民の和合的ムードを鼓舞するためだった。こうした大規模特赦は金泳三(キム・ヨンサム)政権で1回、金大中(キム・デジュン)政権で2回、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で1回あった。李明博政権になってからは昨年の就任100日に続き今回が2回目だ。交通法をはじめとする各種法規の違反者は多くが庶民層だという点から、こうした特赦は彼らの生活に実質的な助けになるのは事実だ。特にいまのような経済危機では運転免許取り消しのような制裁は少なからぬ制約になっている。

しかしこうした特赦は本質的に差別的措置だという点を忘れてはならない。多くの人が法規を守るのに神経を使っているのに、法規を犯した人を定期的に赦免すれば公平性に合わない。そして「制裁を受けてもいくらもせずに赦免される」という風潮が生まれれば順法意識は深刻な挑戦を受けることになる。だから大統領の赦免権はこうした副作用を最小化するよう慎重に厳格に行使されなくてはならない。さらに大統領は最高行政責任者だ。その一次的義務は赦免ではなくどこまでも法と秩序を守護することだ。こうして大統領が赦免を積極的に言及するのは共同体の法秩序に否定的な影響を与えかねない。大統領としては親庶民的な政策に努力していることをアピールしたいだろうが、親庶民よりも重要な価値が法と秩序だという点を記憶すべきだ。そして「生計型」という表現も慎重に使うべきだ。生計型と非生計型の区分が現実的に容易ではなく、ともすれば「生計」という理由で多くのことが容認される危険があるためだ。

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