人は時々よく知らないことに漠然とした憧れや期待を抱くものだが、海もそういった存在のようだ。 人類の歴史を見ても海の重要性がよく分かる。 海は交易の通路であり、今日の世界は早くから海を制覇した西洋国家によって下絵が描かれた。 このため多くの人は遠い海から未来に必要なさまざまな地下資源を得られると期待している。 しかし知れば知るほど大洋は資源としての価値よりも、私たちが理解と保存により多くの努力を傾けなければならない対象であることが見えてくる。
人は深い水の中に無限の地下資源があり、日本が独島(ドクト、日本名・竹島)所有権を主張するのも、その周辺にメタン水化物をはじめとする多くの地下資源が埋まっているからだという。 しかし実際これは違う。 日本が独島所有権を主張する理由は、おそらく独島が地形的に日本本土の延長線上にあるからだ。 海水面の上だけが描かれている一般の地図では気づきにくいが、海底地形をよく見ると鬱陵島(ウルルンド)は確かに韓半島の延長線上にあるが、独島は日本側についている。 大きな峡谷が2つの島の間にある。 これはグーグルアースの海底地形情報からもすぐに確認できる。 現在、日本は太平洋にわずか数十平方メートルの大きさの岩の上に鉄筋コンクリートの構造物を築き、その周辺200カイリを自国の海域だと主張している。 ところが実際には日本本土に近い独島を韓国が支配しているため、納得できない部分もあるはずだ。
現在、海から得られる経済性のある資源は石油とガスだけだといっても過言ではない。 しかしこの2つも深海ではない大陸周辺の海から採れる。 残りの鉱物は未来の資源といえるが、当分は大きな経済的価値を期待するのが難しい。 現在の知識または技術水準では不可能で、数十年ないしそれ以上先を考えなければならないということだ。 海洋科学に対する国民的な理解は先進国と開発途上国の間で明白に差がある。 新しい科学的事実が発見されれば、当初はそれがもたらす産業的価値に興奮しやすい。 しかし研究が進行すると、当初の予想と違い、経済性はほど遠く、さらに学問的理解が深まった後に評価が正しく下されることが多い。 こういう時に先進国では一貫した研究を通してそれを理解しようという努力を傾ける半面、開発途上国はそこであきらめたり、逆に無謀な開発に走るケースをよく見かける。 不幸にも韓国は海に関する限りこの後者から抜け出せずにいる。
人間が自然から生活に直接的に役立つ何かを得たとすれば、ほとんどがその原理を完全に理解した後だ。 ファラデーをはじめとする19世紀の科学者が電気と磁気の原理を解明できなかったとすれば、果たして今日の半導体やディスプレーなどの電子製品が作られただろうか。進化・遺伝の原理を理解できなかったとすれば、分子生物学を通した病気の治療が可能だっただろうか。自然現象に対する完全な理解が先行した後に初めて経済的な価値を論ずることができるというのは数多くの歴史的事例が立証している。 それを無視して失敗した事例もだ。 こうした意味で、海は私たちがもっと理解し保存していかなければならない対象のようだ。 完璧な科学的理解だけが、私たちが今後どのように海を活用して管理していくべきかに対する答えを与えてくれる。
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