「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」 など青春コメディー物で韓国内にも熱血ファンを抱える矢口史靖監督（写真）。つまらない青春たちのドタバタ挑戦記を通じて愉快な笑いを届け、日本で最も遊戯的な監督としても挙げられる彼だ。今回は飛行アドベンチャー物に挑戦した。タイトルもハッピーな「ハッピーフライト」（１６日公開）。新人操縦士（田辺誠一）、新人スチュワーデス（綾瀬はるか）らを軸に、はっとする航空事故の危機をコミカルに描いた。パイロットと乗務員から管制塔、整備師、バードパトロール班まで、飛行にかかわる職業の世界がいきいきと展開される。監督は２年にわたる資料調査と航空関係者１００人のインタビューをもとにシナリオを書いた。ＡＮＡの全幅的な支援でボーイング７４７旅客機、管制塔、統制室、格納庫、滑走路などほとんど１００％近く現場撮影した。彼に電子メールで会った。

－－最初はハリウッドスタイルのパニック物を念頭に置いていたとか。

「幼いころからハリウッドの飛行アドベンチャー映画が大好きで、すでにずいぶん前にシーケンスを書いておいた。実際、映画の方向は取材しながら決まった。飛行機は１人の英雄が何をするというものではない。多くの人々がそれぞれ自分の位置でプロとしての役割を遂行しながら成り立っている。１人の過ちで問題が起こるのではなく、意思疎通がうまくいかず、あるいは他人の業務に対する理解が足りなくて問題が発生する。この部分がおもしろかったし、ここに焦点を合わせれば今まで誰もやらなかった新しい航空業界の映画になるかと思った」


－－ＡＮＡの支援が大きな助けになったようだ。

「制作支援が決まったとき、このプロジェクトの成功を確信した。ＡＮＡは実際運航中のボーイング機を１５日間貸してくれた。操縦室だけはとても狭かったのでセットで撮影したが、残りは１００％現場撮影だ。数回シナリオの監修もしてくれた。機長が「お客さん」という部分を指摘され、撮影場で「乗客」と直したりしたこともあった。ところで機内撮影は予想より困難が多かった。セット場と違い、座席は固定されていて、壁も引き離すことができないし、カメラとスタッフが移動可能な空間もただ２つの通路が全てだった。照明装備を入れればもう空間がない。それでもぜいたくな経験だったと思う」



日本コメディー映画「ハッピーフライト」矢口史靖監督 （２）



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