千成寬(チョン・ソングァン)検察総長候補者が昨夜、「今回の人事聴聞会過程で国民の皆様に迷惑をかけたことに対して責任を痛感し、公職候補職を辞退する」と明らかにした。青瓦台もこれを受け入れることにした。遅い感はあるが幸いだ。内定後に提起された各種疑惑で千氏が果たして大韓民国の‘司正総帥’としての資格があるのか非常に疑わしかったからだ。
人事聴聞会では、高価マンション購入資金の出所と他人名義の高級乗用車の無償使用、‘スポンサー’と一緒にしたというブランド品ショッピング旅行などの疑惑についての明快な釈明はなかった。むしろ子どもを良い学校に進学させるために偽装転入をするなど、千氏が自ら実定法を違反したことを認める場となった。千氏の主張のように純粋に住宅購入資金を借りたとしても、借用証もなく巨額を貸した事業家が何らかの依頼をすれば簡単に断れるかという点を考えた場合、検察の高位職としては適切な行動ではない。良い学校に子どもを進学させるための偽装転入も一般国民の行為と比べるとはるかに重い。子どもの結婚式が行われた6ツ星ホテルを「小さな郊外」と述べた部分も、一般の人の情緒を刺激した発言だった。
こうした状況の中、千氏が国民感情を考慮して検察総長候補職を辞退したのは、国論分裂を防ぎ社会的葛藤の余地を除去するという側面で賢明な決定だったというのがわれわれの判断だ。また、心機一転して国政刷新の転機を模索していた李明博(イ・ミョンバク)大統領の政治的負担を軽減できるという意味でもそうだ。そうでなくても前途の長い大韓民国号にとって、とんでもないことが足かせになってあたふたするのは決して望ましいことではないからだ。
しかしこうしたハプニングを事前に防げなかった青瓦台(チョンワデ、大統領府)の要人検証システムは当然、厳しい叱責を受けなければならない。政権発足初期から問題の多い検証で「カン・プジャ(江南に住む金持ち)」「コ・ソヨン(高麗大出身でソマン教会に通う嶺南出身者)」など各種新造語が登場する口実を提供するなど大変な苦労をしながらも、一つも良くなっていないという点があらわになった。政権に対する憂慮を通り過ぎて怒りを買うほどだ。「人事が万事」という警句を改めて引用する必要もなく、人事をしっかりとするだけで半分は成功を収められる。
にもかかわらず人事の度に国民の批判を受け、政府は必要のない社会的費用を国民に負担させている。こうした点で検証を徹底的に行わなかった青瓦台の関係者を今度は必ず問責する必要がある。政権のためでなく国民が非常に疲れているからだ。青瓦台は今回のハプニングを反面教師とし、今後の改閣などでは人事検証システムをよりいっそう緻密に整えなければならない。
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