麻生首相が「国会解散」のカードを取り出したのは、こうした複雑な事情の産物といえる。

首相をいつでも交代できる議員内閣制で意味が大きい内閣支持率は１０％台に落ち込み、衆院の任期満了（９月１０日）が差し迫る状況で、任期に先立ち、政治的に勝負を決めようとしたのだ。

しかし自民党内では「首相交代後の総選挙」を求める反麻生勢力の抵抗も強い。麻生体制では総選挙で勝利しにくいという理由だ。出師表には「首相交代説」に対抗し自身を守ろうとする腹案も敷かれてある。麻生氏のカードが通じるかどうかは未知数だ。政権交代を通じ新しい風を起こすべきだという国民の期待が広がっているからだ。


有権者の態度変化は、今年４月以降、民主党が支持した３０～４０代の若手候補らが千葉市長選、静岡県知事選で相次いで勝利した後、表面化した。１２日の東京都議選でも民主党は候補５８人のうち５４人が当選するなど、圧勝した。政権交代のムードが高まり、投票率が以前より１０．５％急上昇したのも「民主党圧勝」の牽引車になった。

政権交代のムードは総選挙につながるものとみられる。朝日新聞が東京都議選の出口調査時に行った「次期総選挙での支持政党」調査では、民主党支持者（４６％）が自民党支持者（１９％）を倍以上上回った。４０代の男性会社員は「政権がいつでも変わることができてこそ、政治家が緊張感を持つことができる」と強調した。３０代の女性会社員は「実効性のない景気対策にこれ以上耐えられない」とし、自民党から民主党に支持政党を変えた理由を明らかにした。



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