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多国籍製薬会社が新たに開発する抗がん剤の臨床試験を韓国で行うケースが増えている。今年の上半期に食品医薬品安全庁が承認した抗がん剤関連臨床試験48件うち、23件が多国籍臨床試験だ。初期段階である1相も3件含まれている。一般的な新薬の1相は健康な人が対象だが、抗がん剤は1相から患者に投与してみる。しかも多国籍製薬会社の新薬は既存の抗がん剤とは治療原理から違う薬物の場合が多い。このような抗がん剤1相の試験をするということは国内医療陣と臨床センターの実力が国際的に認められるようになったという意味だ。
日本人黒木俊之さん(49、会社員、写真)は、5月初め、生まれて初めて韓国の地を踏んだ。リンパ腺まで転移した肺がん4期と診断されて1年半だ。すでに手術の時期を逃したため、日本の千葉県がんセンターで抗がん治療をしながらかろうじて堪えてきた彼にとって韓国は最後の希望の地だった。ソウル大病院で進行中の多国籍臨床試験に参加するために玄海灘を渡ってきたのだ。黒木さんと同じ肺がん患者のうち約3%に当たる珍しい遺伝型(EML4-ALK突然変異)の非小細胞肺がん患者たちを対象に多国籍製薬会社ファイザーが開発中のPF-02341066という飲み薬の1段階臨床試験(第1相)だった。
「日本の医者からそんな薬が開発されているという話を聞いて、初めは米国に行かなきゃいけないのかと思いました。ところがすぐとなりの韓国でも同じ臨床試験をしていると言うじゃないですか。私のような種類の肺がんにかかった日本人患者も何人もここで良い結果を得たということでした」
1日、ソウル大病院がんセンターの3階で会った黒木さんの顔には希望が見えた。定期検診のため、ソウルには4回目の訪問だと言った。「これ、見てください」と彼はかばんから1枚の紙を取り出した。山の模様をした曲線グラフが5月20日付をピークに険しい下降線をたどっていた。がん細胞の数値を見せる血液検査結果だと言った。そんな黒木さんを見て通訳ボランティアであるパク・コンウさんは「先日、日本で撮影したコンピューター断層撮影(CT)検査結果でも腫瘍が小さくなったし、痰に血が混ざって出た症状も消えて好転している」と説明してくれた。
ほかの日本人患者の案内もしているというパクさんは「韓国の患者同様、日本人たちも“結果が悪くても異議を申し立てない”という内容の同意書にサインをしなければ臨床試験に参加できない」とし「幸いに生きることをほとんどあきらめた患者たちが皆、良い結果を得ているので、通訳する立場としても胸がいっぱいになる」と言った。
日本・中国のがん患者たち「最後の希望」求めて韓国行き(2)
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