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【コラム】韓米ミサイル指針を見直すべき時点

1942年。

欧州大陸を占領したドイツのナチスは、英国を攻撃するために人類初めての弾道ミサイル「V2ロケット」を開発した。

ナチスは第2次世界大戦が終わる45年まで、およそ6000発のV2ロケットを作り、約3400発を連合軍への攻撃に使った。うち約1500発は英ロンドンに投下された。ロンドンの市民はアルミニウムの燃料タンクにアルコールと液体酸素を貯蔵し、発射したV2の恐怖に震えた。V2ロケットで死去したロンドン市民だけでも2600人を超えた。


戦争が終わった後、ソ連はドイツのV2ロケットの技術者一部を同国に抑留した。ドイツの技術者がソ連で初めて作ったミサイルはスカッド(Scud)だった。スカッドミサイルは55年、ソ連軍に初めて配備された後、エジプトを経て、81年、北朝鮮に導入された。北朝鮮はスカッドミサイルを原形に、85年、射程340キロメートルの「スカッドB」の生産を皮切りに「スカッドC」(550キロ)と中距離ミサイル「ノドン」(1300キロ)などを開発した。

北朝鮮は現在スカッドミサイル約600発とノドンミサイル約200発を実戦配備している。およそ60年前にロンドンを脅威したV2ロケットがスカッドとノドンに変わり、いまやソウルを脅威しているのだ。短距離に属するスカッドBとCは休戦ラインからわずか50キロメートル北方の支下里(ジハリ)などに配備されている。韓国全域が射程に入る。ソウルまではわずか3-5分間で飛んでくる。

「ノドン」のように射程が長い中距離ミサイルは朝中国境周辺に位置した両江道嶺低里(リャンガンド・リョンジョリ)に配備中だ。軍情報当局によると、スカッドやノドンは戦争が勃発する初期に韓国または日本に飛んでくる。これによって韓国軍も戦時に備え、北朝鮮のミサイルに対する軍事対策を講じている。なるべく北朝鮮がミサイルを韓国に向かって発射する前に、精密打撃で除去するのが一次的な目標だ。

ところが問題がある。北朝鮮のミサイルの数が多すぎて、同時に制圧しにくいということだ。また韓国軍が保有するミサイル「玄武(ヒョンム)」と「ATACMS」は射程が300キロ以内であることから、北朝鮮後方に位置したノドンの基地まで届かない。空軍戦闘機の派遣にもリスクがある。事実上、北朝鮮の後方にある中距離弾道ミサイルに対しては無策のままであるわけだ。

韓国軍のミサイルの射程が300キロ以上に拡大されるべきだという見方が出ているのは、こうした背景からだ。しかし現在の韓米ミサイル指針は「韓国は、射程300キロ、弾頭の重さ500キロ以上の弾道ミサイルを開発・生産できない」と定めている。この指針は、韓国が90年代初めに「玄武」を生産した当時、米国から部品を支援を受ける際に約束したものだ。最初は射程をソウルから北朝鮮・平壌(ピョンヤン)までの距離(180キロ)と定めたが、01年に300キロ以内に増やした。

日増しに強まる北朝鮮のミサイル戦力を踏まえ、そろそろ米国とのミサイル指針を見直すべき時点になったと考える。「ミサイルの主権」に触れる前に、韓国の防衛に必須だからだ。韓国が95年に加入したミサイル技術管理レジーム(MTCR)の範囲内で認めるべきだということだ。MTCRは、射程300キロ・弾頭の重さ500キロを上回るロケットまたは弾道ミサイルを海外に輸出できないと定めている。

しかし韓国のように北朝鮮の脅威を防衛するための用途や、羅老島(ナロド)で発射される衛星飛翔体(ひしょうたい)を開発、制作するのは規制せずにいる。こうした点からシャープ在韓米軍司令官が今月2日、国会国防委員会に所属する議員の補佐官らに、韓米ミサイル指針の改正問題を協議できるとコメントしたのは望ましい。

弾道ミサイルの射程を増やすならば、韓半島を抜け出さない800~1000キロが戦術的に効果的だというのが専門家の意見だ。韓国軍の弾道ミサイルの射程距離を拡大し、北朝鮮の核・ミサイルによる脅威に対応できてこそ、北朝鮮の核廃絶を誘導できる。



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