李明博(イ・ミョンバク MB)大統領が昨日、ほぼ全財産に相当する私財331億4200万ウォン(約25億円)を寄付した。
大統領選直前の07年12月7日、テレビでの演説で「夫婦が暮らすための住宅1軒で十分だ。そのほかに持っている全財産を社会に寄付する」と約束したのを、1年7カ月後に実行に移したのだ。
李大統領が残した財産は江南区論硯洞(カンナムグ・ノンヒョンドン)の自宅(44億2500万ウォン)とスポーツ関連会員券など約49億600万ウォンだ。大半が不動産からなる寄付財産で「財団法人清渓(チョンゲ)」を設立した。年間約11億ウォンにのぼる賃貸料の収益を、低所得層の高校生の学費、小中高生の食費などにあてる計画だ。
大統領選の公約を守ったものとはいうものの、苦労して集めた財産を寄付するのが言葉のように簡単なものではない。李大統領が公約を本当に守るだろうか、と深い疑念を抱いて見守る人々が多かったのもそのためである。李大統領がやや遅い感じがなくはないものの、約束を履行し議論の余地をなくしたのはよくやったことだ。
韓国社会の寄付文化は依然として極めて初歩の段階にある。非営利公益財団「美しい財団」が調べたところでは、07年、個人の寄付参加率が55%にすぎない。1人当たりの年平均寄付金額も10万9000ウォンだという。06年に米国の個人寄付参加率が83%、1人当たりの平均寄付金額が113万ウォン(ウォールストリートジャーナルの報道)に比べれば、本当にみすぼらしい数字と言える。
寄付は金がたくさんあるからするものでもない。基礎生活受給者でありながらも集めた金を寄付しこの世を去った高齢女性、厳しい環境でも勤倹、節約し集めた金を奨学金として残した事例は数えきれないほど多い。李大統領も「ひどく貧しい家の息子が大統領になるまで助けてくれた人は…一様に貧しい方々だった」と吐露した。
李大統領のこの決心が韓国社会の指導層にとって「ノーブレスオブリージュ」の良い手本になることを期待したい。李大統領の「財産社会寄付」という決心が政治的に誤解されてきたのは残念なことだ。大統領選を控えて「BBK疑惑」(在米韓国人の金融専門家、金敬俊氏が99年、韓国で投資顧問会社BBKを設立し、株価操作と投資資金を横領した容疑がもたれている詐欺事件)で苦労していた時点だったから、局面を転換させるためのもの、と疑うのも無理ではなかった。
李大統領はこうした決心をしたのは「かなり以前」と明らかにした。95年に著した自伝「李明博自伝」(原題「神話はない」)の「金の稼ぎ方、使い方」でも「妻と私は財産を子どもに譲らない考え」(294ページ)という文章がある。李大統領が本当に寄付を実践に移すことによって、こうした誤解の大半が払拭できるようになった。
しかし選挙当時にこれを発表し、政治的利益を得た事実は否認できない。寄付は美しいことだが、政治的な利害関係に結びつけ、その意味を濁らせることが二度と繰り返されないよう願いたい。一部では財団が李大統領の側近らで構成された点を指摘する。寄付した人の意志がきちんと反映されるためには、李大統領と近い人々の参加が避けられないものとみられる。それだけに客観的な検証を可能にする補完装置が必要だ。
李大統領は「財団法人清渓の設立に際し」という文で「韓国社会が互いに助け合い、思いやる温かい社会になることを心から待ちこがれている」とした。透明な財団の運営で寄付の純粋な意味を確認させることによって、寄付文化拡散のきっかけになるとき、大統領の願いもかなうだろう。
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・ 昨年の為替防御費用4兆5000億ウォン
大統領選直前の07年12月7日、テレビでの演説で「夫婦が暮らすための住宅1軒で十分だ。そのほかに持っている全財産を社会に寄付する」と約束したのを、1年7カ月後に実行に移したのだ。
李大統領が残した財産は江南区論硯洞(カンナムグ・ノンヒョンドン)の自宅(44億2500万ウォン)とスポーツ関連会員券など約49億600万ウォンだ。大半が不動産からなる寄付財産で「財団法人清渓(チョンゲ)」を設立した。年間約11億ウォンにのぼる賃貸料の収益を、低所得層の高校生の学費、小中高生の食費などにあてる計画だ。
大統領選の公約を守ったものとはいうものの、苦労して集めた財産を寄付するのが言葉のように簡単なものではない。李大統領が公約を本当に守るだろうか、と深い疑念を抱いて見守る人々が多かったのもそのためである。李大統領がやや遅い感じがなくはないものの、約束を履行し議論の余地をなくしたのはよくやったことだ。
韓国社会の寄付文化は依然として極めて初歩の段階にある。非営利公益財団「美しい財団」が調べたところでは、07年、個人の寄付参加率が55%にすぎない。1人当たりの年平均寄付金額も10万9000ウォンだという。06年に米国の個人寄付参加率が83%、1人当たりの平均寄付金額が113万ウォン(ウォールストリートジャーナルの報道)に比べれば、本当にみすぼらしい数字と言える。
寄付は金がたくさんあるからするものでもない。基礎生活受給者でありながらも集めた金を寄付しこの世を去った高齢女性、厳しい環境でも勤倹、節約し集めた金を奨学金として残した事例は数えきれないほど多い。李大統領も「ひどく貧しい家の息子が大統領になるまで助けてくれた人は…一様に貧しい方々だった」と吐露した。
李大統領のこの決心が韓国社会の指導層にとって「ノーブレスオブリージュ」の良い手本になることを期待したい。李大統領の「財産社会寄付」という決心が政治的に誤解されてきたのは残念なことだ。大統領選を控えて「BBK疑惑」(在米韓国人の金融専門家、金敬俊氏が99年、韓国で投資顧問会社BBKを設立し、株価操作と投資資金を横領した容疑がもたれている詐欺事件)で苦労していた時点だったから、局面を転換させるためのもの、と疑うのも無理ではなかった。
李大統領はこうした決心をしたのは「かなり以前」と明らかにした。95年に著した自伝「李明博自伝」(原題「神話はない」)の「金の稼ぎ方、使い方」でも「妻と私は財産を子どもに譲らない考え」(294ページ)という文章がある。李大統領が本当に寄付を実践に移すことによって、こうした誤解の大半が払拭できるようになった。
しかし選挙当時にこれを発表し、政治的利益を得た事実は否認できない。寄付は美しいことだが、政治的な利害関係に結びつけ、その意味を濁らせることが二度と繰り返されないよう願いたい。一部では財団が李大統領の側近らで構成された点を指摘する。寄付した人の意志がきちんと反映されるためには、李大統領と近い人々の参加が避けられないものとみられる。それだけに客観的な検証を可能にする補完装置が必要だ。
李大統領は「財団法人清渓の設立に際し」という文で「韓国社会が互いに助け合い、思いやる温かい社会になることを心から待ちこがれている」とした。透明な財団の運営で寄付の純粋な意味を確認させることによって、寄付文化拡散のきっかけになるとき、大統領の願いもかなうだろう。
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