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9世紀末、新羅3代目女王である真聖女王が若い美男たちを引きこんで姦通しているといううわさが広がった。売官売職もはびこって役人たちの綱紀が崩れた。自然に民心も乱れて慌しくなった。
1日は女王の失政を条目別に批判する文が著者に掲げられた。誰の所作なのかわからない匿名の対政府非難事件が起こったのだ。かっとなった女王が犯人索出に出たが容易に明かされなかった。ある臣下が「こんな文を書いた人は学問にすぐれていても出世できなかった人であるはずだから、大耶州(テヤジュ)山里に隠居する王居人が有力だ」と言うと女王は直ちにつかまえて来るように言った。
無条件に犯人にし、獄に閉じこめられた居人は怨めしい気持ちを訴える詩を壁に書いた。するとその日の夕方、急に空から雷が鳴り、女王は空が怒るのかと恐ろしくなり、居人を釈放したという内容が『三国遺事』に伝わる。
匿名の政権批判に対する記録は朝鮮燕山君の詩にもあった。1504年7月19日、漢陽城内にハングルだけで燕山君の苛政を批判した文書が流布された事実が明らかになり、朝廷が大きく騒ぎとなった。この文件は医女たちの名前を借りて「我々の王がこれほどにも無道だ」と燕山君が幾多の士を殺して享楽に染まった点を皮肉った。
これも犯人を見つけ出すことができなかった燕山君は、腹いせを語文政策に反映、ハングルを書くことも教えることもできないようにする命を下した。このエピソードは1200万観客を動員した映画「王の男」にもそのまま紹介された。
歳月は経ち、インターネットの発達は匿名の批判者たちに翼をつけた。為政者たちに向けてあふれる幾多の匿名の批判はオンラインを通じて既存メディアを超える大きな声に増幅した。もちろん力が大きくなった分、責任も重くなり、そのうち韓国社会を襲った通貨危機と経済危機はミネルバというインターネットスターを生むに至った。
高い人気により一時、経済難を加重させた犯人にされたミネルバは、無罪判決を受けた後、2日から日刊スポーツに毎週2回ずつ経済関連コラムを連載している。もちろんメディアに足を入れた分、今度の復帰は彼の力量を再検証する機会としても作用する見通しだ。インターネット論客からオフラインコラムニストに変身したミネルバが果たして経済専門家としての真価をどれだけ見せてくれるのか気になる。
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